所得税法等の一部改正法律案を26日に今国会に提出

財務省は26日、2021年度税制改正に係る所得税法等の一部改正法律案を今国会に提出したことを明らかにした。2021年度税制改正では、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るための投資促進措置を創設、こうした投資等を行う企業に対する繰越欠損金の控除上限の特例を設ける。あわせて、中小企業の経営資源の集約化による事業再構築等を促す措置を創設するほか、住宅ローン控除の特例の延長等を行う。

法律案の概要をみると、個人所得課税では、住宅ローン控除の特例について、控除期間13年間の特例を延長する(一定の期間に契約し、2022年12月31日までに入居した者が対象)。特例の延長分については、合計所得金額1000万円以下の者に限り、対象家屋を床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅に拡充する。そのほか、国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置を設ける。

法人課税では、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制を創設。クラウド化等による事業変革に係る投資に対する税額控除(5%・3%)又は特別償却(30%)を選択適用。カーボンニュートラルに向けた投資促進税制を創設。脱炭素化効果の高い先進的な投資に対する税額控除(10%・5%)又は特別償却(50%)の選択適用ができる。研究開発税制は、一定の企業の控除税額の上限を引き上げ(25%⇒30%)、税額控除率を見直す。

さらに、給与等の引上げ及び設備投資を行った場合の税額控除制度について、継続雇用者給与等支給額に係る要件から新規雇用者給与等支給額に係る要件に見直す。繰越欠損金の控除上限の特例を創設し、事業適応計画(仮称)に基づく投資額の範囲内で繰越欠損金の控除限度額を引き上げる。そのほか、自社株式を対価とするM&Aに係る対象会社株主に対する課税の繰延措置の創設や、中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設等がある。

資産課税では、教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置について、贈与者死亡時の残高について相続税額の2割加算を適用する等の見直しを行った上で、2年延長する。消費課税では、自動車重量税のエコカー減税を見直す(減免税車の対象範囲を見直した上で、2年延長)。納税環境整備では、電子帳簿等保存制度について、事前承認の廃止等、手続・要件の緩和などの見直しを行う。