2021-02-17
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金や税金などの債務を遺産総額(相続時精算課税の適用を受ける贈与財産がある場合には、その価額を加算する)から差し引くことができる。差し引くことができる債務は、相続開始日時点(原則、被相続人が死亡したとき)に現実に存在するもので、債務で確実と認められるものだ。債務控除の内容としては、大きく「債務」と「葬式費用」とに分かれる。
債務のうち税金については、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができる。ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできない。
葬式費用は、被相続人が亡くなった時点で発生しているものではなく、また債務ではないが、相続が発生すると通常発生する費用であるし、被相続人の財産から支払いされるのが一般的なので、債務控除と同様に相続税を計算するときは遺産総額から差し引くことができる。ただし、被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできないので注意が必要だ。
債務などを差し引くことのできる人は、(1) 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がある人(一時居住者で、かつ、被相続人が一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除く)、(2) 相続や遺贈で財産を取得した時に日本国内に住所がない一定の条件に該当する人で、その債務などを負担することになる相続人や包括受遺者(相続時精算課税の適用を受ける贈与により財産をもらった人を含む)となる。
(2)は、(イ)日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがある人、(ロ)日本国籍を有しており、かつ、相続開始前10年以内に日本国内に住所を有していたことがない人(被相続人が、一時居住被相続人又は非居住被相続人である場合を除く)、(ハ)日本国籍を有していない人(被相続人が、一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人である場合を除く)のいずれかに当てはまる人だ。