2021-03-01
財務省は2月26日、国民負担率が、2021年度予算では2020年度実績見通しから1.8ポイント減の44.3%となるとの見通しを発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。21年度見通しの内訳は、国税15.5%、地方税9.9%で租税負担率が25.4%、社会保障負担率は18.9%。20年度は19年10月の消費増税分が国民負担に1年間で影響して過去最高の46.1%だった。
2020年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.9ポイント減(国税:横ばい、地方税:0.7ポイント減)、社会保障負担率は1.0ポイント減となったが、前年はこの統計を開始した1970年度以降では過去最高の19.9%となっており、20年度は過去2番目に高い。国民負担率を諸外国(18年実績)と比べた場合、日本(44.3%)は、米国(31.8%)よりは高いが、フランス(68.3%)、スウェーデン(58.8%)、ドイツ(54.9%)、英国(47.8%)よりは低い。
真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2021年度の国民所得(20年度に比べ16万6千円増の393万6千円)に対する財政赤字の割合は、前年度から8.1ポイント減の12.2%となる見通し。この結果、21年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、20年度実績見込みからは10.0ポイント減の56.5%だが、過去最高だった20年度に次ぎ2番目に高い見通し。
なお、租税負担率は、戦後は40年代半ばの混乱期を除いて20%前後で推移。しかし80年台前半以降、次第に上昇し始め、89・90年度の27.7%をピークに、その後はほぼ20%台前半から半ばで推移している。OECD加盟37ヵ国との18年実績での比較では、比較可能な35ヵ国中、日本(26.1%)はメキシコ(18.9%)、チリ(22.1%)などに次ぐ6番目に低い水準となる。最高はルクセンブルグの71.0%。
また、2021年度見通しの国民負担率44.3%は、調査開始以来、過去最高だった20年度の46.1%を1.8ポイント下回ったが、9年連続で40%台の高水準の数字となる見込みだ。OECD加盟37ヵ国と18年実績で比較した場合、日本(43.3%)は、比較可能な35ヵ国のなかで下から10番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルグの100.8%、最低はメキシコの21.3%(租税負担率も最低の18.9%)だった。
「国民負担率(対国民所得比)の推移」は↓
https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/sy202102a.pdf