少額短期保険には要注意! 生命保険料控除の対象外

保険といえば、生命保険や傷害保険などが一般的だが、あまり知られていないものに少額短期保険(ミニ保険)と呼ばれる商品があり、人気となっている。この少額短期保険は、2006年の保険業法の改正で誕生したものだが、保険業のうち、一定の事業規模の範囲内において、保険金額が少額、保険期間が1年(傷害保険の分野2年)以内の保険で、保障性商品の引受けのみを行う事業として、「少額短期保険業」が設けられている。

少額短期保険、いわゆる「ミニ保険」は2005年5月2日公布による「保険業法等の一部を改正する法律」で制度が導入され、2006年4月1日から施行された。「少額短期保険事業者」は、金融庁財務局に2月15日現在で108事業者が登録されているが、この少額短期保険事業者は、通常の保険会社とは異なり、様々な商品を販売することができ、生命保険会社が販売する生命保険も取り扱えることとなっている。

しかし、この「少額短期保険事業者」との契約による生命保険料は、税務上、生命保険料控除の対象とはならないので注意が必要だ。というのも、所得税法上、生命保険料控除の対象となるには、保険業法2条3項の生命保険会社又は同条8項の外国生命保険会社等との保険契約であることが要件の一つとなっているが、少額短期保険業者との契約はこの要件に該当しないため、生命保険料控除は適用できないのだ。

少額短期保険事業者は、保険業法2条17・18項で規定されており、保険業法上、生命保険会社とは別の保険業として区分されているので、たとえ死亡保障のために交わした生命保険契約であっても、少額短期保険事業者との保険契約は、税務上、控除の対象とはならないのだ。もちろん、年末調整や確定申告時にも、少額短期保険事業者からは「生命保険料控除証明書」は交付されない。

少額短期保険のメリットは、既存の生損保にない商品が発売されており、保険料は掛捨てタイプなので一般的に割安なものが多いこと。一番多いのは生保分野では医療保険などで、損保分野では賃貸用の家財の火災保険がある。また、ペット保険の大半は少額短期保険業者が取り扱っている。デメリットは、支払った保険料が保険料控除の対象とならないことを始め、広告宣伝などを行わないため、知名度が低くあまり知られていないことだ。