2021-03-08
2021年度税制改正法案である国税の所得税法等一部改正法案と地方税法等一部改正法案は、ともに3月2日に開かれた衆院本会議で可決、参院に送られた。年度内成立を目指す。所得税法等一部改正法案の実質審議は、衆院財務金融委員会で2月24日、26日、3月2日の3日間行われた後、3月2日に本会議に先立ち採決し可決されている。
国税関係では、控除期間を13年間とする住宅ローン控除の特例の延長や、クラウド化等による事業変革への投資や脱炭素化効果の高い投資に対する税額控除又は特別償却を行う税制の創設、繰越欠損金の控除限度額を引き上げる控除上限の特例の創設、中小企業者等の法人税率の特例の延長、自動車重量税のエコカー減税の見直し等が盛り込まれている。
地方税関係では、固定資産税(宅地等及び農地)の負担調整措置について、2021年度から2023年度までの間、据置年度において価格の下落修正を行う措置並びに商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。その上で、2021年度に限り負担調整措置等により課税標準額が増加する土地について、前年度の課税標準額に据え置く特別措置等が行われる。
ところで、税制改正の国会審議では、法案の内容だけでなく内容に直接関係しない質疑も行われている。2月26日の質疑では、日吉雄太議員(立民)が、子ども食堂を巡る税務処理について、コンビニ等の法人が子ども食堂に食材等の現物を寄附した場合、税務上、寄附金として扱われるのかそれとも単純に損金となるのか質問した。これに対して、国税庁の鑓水洋次長が答弁に立った。
鑓水次長は、「法人が食材等を無償で提供した費用は寄附金として一定の損金算入限度額の範囲内で損金算入され、一方で、食材等を無償で提供する場合でも実質的に法人の食品廃棄として行われるものは寄附金以外の費用として損金算入できる。また、法人が不特定又は多数に対して、コロナ感染症の流行収束までの期間に行う自社製品等の提供は、災害時と同様に寄附金以外の費用として損金算入できるものとして取り扱っている」と答弁した。