2021-03-30
国土交通省が23日に公表した2021年1月1日時点の地価公示によると、商業・工業・住宅の全用途(全国)で▲0.5%のマイナス(前年1.4%上昇)と6年ぶりに下落したことが分かった。住宅地は▲0.4%(同0.8%)と5年ぶり、商業地は▲0.8%(同3.1%)と7年ぶりにともに下落に転じた。新型コロナウイルス感染症の影響により全体的に弱含みとなっているが、地価動向の変化の程度は用途や地域によって異なっている。
地方圏は、全用途平均が▲0.3%(前年0.8%)で4年ぶり、住宅地が前年比▲0.3%(同0.5%)で3年ぶり、商業地は▲0.5%(同1.5%)で4年ぶりのそれぞれ下落となった。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均(2.9%)・住宅地(2.7%)・商業地(3.1%)のいずれも上昇を継続したが上昇率が縮小し、地方四市を除くその他の地域では全用途平均・住宅地は2年ぶりに、商業地は3年ぶりに下落に転じた。
国土交通省では、住宅地について、(1)取引の減少、雇用・賃金情勢が弱まり需要者が価格に慎重な態度となったことなどを背景に、全体的に需要は弱含み、(2)中心部の希少性の高い住宅地や、交通利便性等に優れた近郊の住宅地で上昇が継続しているが、昨年より上昇が見られる地域の範囲が狭まっている、(3)地方四市をはじめ地方圏の主要都市では、上昇の継続が見られる等、昨年からの変動率の変化は比較的小さい、などの特徴を示している。
商業地については、(1)店舗やホテルの需要減退、先行き不透明感から需要者が価格に慎重な態度などを背景に、全体的に需要は弱含み、(2)特に、国内外の来訪客増加による店舗、ホテル需要でこれまで上昇してきた地域や、飲食店集積地域では、比較的大きな下落、(3)一方、三大都市圏の中心部から離れた商業地や地方圏の路線商業地など日常生活に必要な店舗等の需要の対象地域では、昨年からの変動率の変化は比較的小さいとしている。
なお、全国の最高額は東京都中央区銀座4の「山野楽器銀座本店」で、1平方メートル当たり5360万円で前年と比べて▲7.1%下落した。ところで、毎年7月には国税庁から相続税・贈与税を計算するときの土地の評価額である路線価が公表されるが、地価公示価格は、売買実例価額や不動産鑑定士等による鑑定評価額等とともに、路線価を算定する際の基となる。地価公示価格の下落の今夏公表される2021年分路線価への影響が注目される。
この件については↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00005.html