2017-01-25
アベノミクスでの上場企業の株価の上昇に伴い、中小企業の中には、業績に大きな変化のない状況下であっても、想定外に株価が高く評価されることで、円滑な事業承継に影響が出る可能性がある。そこで、2017年度税制改正では、取引相場のない株式(非上場株式)について、上場会社のグローバル連結経営の進展や株価の急激な変動が、中小企業の円滑な事業承継を阻害することなく、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直す。
取引相場のない株式の評価を算出する場合に用いる類似業種比準方式は、類似業種の株価(上場会社との平均)と、各比準要素(配当、利益、純資産)に関する、評価対象会社と上場会社との比率を用いて、株価を求める。見直しでは、まず、上場企業の株価について、現行の直近3ヵ月、前年平均に加え、「2年間平均」が選択可能になり、株価上昇局面での急激な変動の平準化を図る。
次に、類似業種の上場企業の配当金額、利益金額、簿価純資産価額について、単体から「連結会計」ベースに見直し、上場会社のグローバル経営を反映することで、過大な評価を是正する。また、利益金額のウエイトが他の要素に比べて3倍となっていたのを、配当金額、簿価純資産価額と1:1:1の「同水準」にし、好業績企業の株価を抑制するとともに、利益圧縮による過度な株価対策を防止する。
そのほか、類似業種比準方式を利用できる企業が増えるように、評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社(斟酌率0.7)、中会社(同0.6)の定義を見直して適用区分を総じて拡大し、現在、中会社、小会社に判定されている企業の株価を抑える。なお、これらの改正は、2017年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価から適用される。