国税庁再任用職員の半数以上がフルタイム勤務に

国税庁再任用職員は、従来は短時間勤務のほうが多かったが、現在では半数以上がフルタイム勤務になっている。内閣人事局が公表している一般国家公務員在職状況統計表(省庁別、勤務時間別再任用職員数)によると、2020年7月1日現在、国税庁の再任用職員2299人のうち、フルタイム勤務は1222人、短時間勤務は1077人で、2002年度の再任用制度導入以後初めてフルタイム勤務職員が短時間勤務職員を上回った。

国税庁の場合、当初から再任用職員の多くが短時間勤務を希望していた。たとえば2008年度は再任用職員248人のうち、フルタイムが10人、短時間が238人、2013年度は再任用職員878人のうち、フルタイムが19人、短時間が859人、2014年度は再任用職員1230人のうち、フルタイムが47人、短時間が1183人と、再任用職員の数が増えてもフルタイム勤務は二ケタにとどまっていた。

それが2015年度には再任用職員1748人のうち、フルタイムが141人、短時間が1607人と三ケタになり、再任用職員数が2550人とピークとなった2018年度はフルタイムが1048人、短時間が1502人となり、フルタイム勤務者が1000人台となり、2020年度にはフルタイム勤務職員が短時間勤務職員の数を逆転した。

再任用制度は、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に65歳へと引き上げられたことに伴い、国家公務員の定年年齢である60歳で定年退職した職員に無収入期間が発生しないよう設けられた。菅首相が今国会に再提出する意向を表明している国家公務員法等改正法案では、この定年を段階的に引き上げ65歳にする。定年の引上げにより、現行の再任用制度は最終的に廃止される。

しかし、定年の段階的な引上げ期間中は、定年から65歳までの間の経過措置として残すことになる。昨年の通常国会に提出された段階では、定年を2022年度から2年ごとに1歳ずつ引き上げ2030年度に65歳にする予定だったが、検察庁法改正案への反発から審議未了で廃案となった。法案審議が1年ずれることから、定年の段階的引上げ実施も1年ずれる可能性が大きいとみられている。