在宅勤務者に対する食券の支給の税務上の取扱いは

国税庁はこのほど、HP上に掲載している在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)に、在宅勤務者に対する食券の支給の税務上の取扱いを追加した。質問は、在宅勤務で業務を行う従業員の昼食の補助として、一定条件の下、従業員に食券(電子的なものを含む)を支給したいと考えている企業が、この食券の支給に関して、従業員の給与として課税する必要はあるかというもの。食券以外の食事の支給はない。

一定条件は、(1)毎月7560円分の食券を従業員に交付するが、その際、従業員はその半額の3780円を当社に支払う、(2)食券の利用は、従業員が在宅勤務を行う日において、当社が契約した特定の飲食店での飲食又は飲食料品の購入(持帰り)でのみ利用可能、(3)食券の利用は、当社の従業員本人の食事代のみについて利用可能であり、従業員の親族等に係る食事代への利用は不可、また、食券を他人へ譲渡することを禁止する。

さらに、(4)食券の利用は、1回2500円までとし、また、実際に要した食事代金が、食券の額面に満たない場合であっても、釣銭を受け取ることはできない、(5)毎月交付された食券の未使用分については、翌月以降に繰り越して使用することができ、また、食券の利用可能期間は、交付日から1年とする。この質問の場合、企業が従業員に支給する場合に非課税となる所得税基本通達に定める要件を満たしているとしている。

所得税基本通達では、企業が従業員に食事の支給をする場合に、その従業員から実際に徴収している対価の額がその食事の価額の50%相当額以上であり、かつ、企業の負担額(食事の価額からその実際に徴収している対価の額を控除した残額)が月額3500円(消費税等の額を除く)を超えないときは、その従業員が食事の支給により受ける経済的利益はないものと取り扱うこととしている。

上記の一定条件の(1)によれば、従業員からその食券の額面金額7560円の50%相当額を徴収しており、消費税等の額を除いた企業の負担額は月額3500円を超えていないため、所基通の要件を満たしている。また、(2)から(5)までの条件が満たされれば、その食券の支給は食事そのものを支給した場合と同視することができるものと考えられるため、質問の食券の支給については、従業員に対する給与として課税する必要はないと回答している。

なお、「食事の支給」とは、企業が従業員に対して、契約業者から購入した弁当や、社員食堂での食事の提供等をいう。一方、「食費の補助」(現金支給)については、給与とみなされ、所得税の課税対象となる。また、(4)の条件のように、1回の食券の利用について、一般的な昼食等としての相当額の範囲を逸脱しない限度額を設定することや、(5)の条件のように、食券の利用可能期間の設定が、同取扱いの趣旨に合うとの考えを示している。