2021-05-19
取引相場のない株式(非上場株式)は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主等か、それ以外の株主かの区分により、それぞれ原則的評価方式又は特例的な評価方式の配当還元方式により評価する。原則的評価方式は、評価する株式を発行した会社を総資産価額、従業員数及び取引金額により大会社、中会社又は小会社のいずれかに区分して評価をすることになっている。
大会社は、原則として、類似業種比準方式により評価。同比準方式は、類似業種の株価を基に、評価する会社の一株当たりの「配当金額」、「利益金額」及び「純資産価額(簿価)」の三つで比準して評価する。小会社は、原則、純資産価額方式によって評価。同価額方式は、会社の総資産や負債を原則として相続税の評価に洗い替えて、その評価した総資産の価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を差し引いた残りの金額により評価する。
中会社は、大会社と小会社の評価方法を併用して評価する。それぞれの方式の割合は、中会社の会社規模をさらに3段階に区分し、規模が大きい方から、「類似業種比準方式90%+純資産価額方式10%」、「類似業種比準方式75%+純資産価額方式25%」、「類似業種比準方式60%+純資産価額方式40%」。なお、純資産価額方式100%で評価することも認められているが、純資産価額方式よりも類似業種比準方式のほうが低く評価されることが多い。
取引相場のない株式は、原則として、以上のような方式により評価するが、同族株主以外の株主が取得した株式については、その株式の発行会社の規模にかかわらず原則的評価方式に代えて特例的な評価方式の配当還元方式で評価する。配当還元方式は、その株式を所有することによって受け取る一年間の配当金額を、一定の利率(10%)で還元して元本である株式の価額を評価する方法である。
なお、類似業種比準方式で評価する場合に「比準要素数1の会社」や、株式等の保有割合が一定の割合以上の「株式等保有特定会社」、土地等の保有割合が一定の割合以上の「土地保有特定会社」、課税時期において開業後の経過年数が「3年未満の会社」、「開業前又は休業中の会社」などのような特定の評価会社の株式は、原則として、純資産価額方式により評価することになっている。