2021-06-02
個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除は、2019年1月1日から2028年12月31日までの10年間の特例とされている。円滑化法の認定を受けた後継者である受贈者(「特例事業受贈者」)が、青色申告(正規の簿記の原則によるものに限る)に係る事業(不動産貸付業等を除く)を行っていた贈与者から、その事業に係る特定事業用資産の全てを10年間に贈与により取得をした場合に、贈与税の納税等が猶予されるものだ。
青色申告に係る事業の継続等、一定の要件の下、特例事業受贈者が納付すべき贈与税のうち、特例事業用資産に係る課税価格に対応する贈与税の納税が猶予され、特例事業受贈者が死亡した場合等には、その全部又は一部が免除される。ただし、免除されるまでに、特例事業用資産を特例事業受贈者の事業の用に供さなくなった場合などには、事業用資産納税猶予税額ついて納税の猶予が打ち切られ、その税額と利子税額を納付しなければならない。
上記の「円滑化法の認定を受けた後継者」とは、2019年4月1日から2024年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県知事に提出し、確認を受けた者に限られる。また、この制度の対象となる「特定事業用資産」とは、先代事業者(贈与者)の事業の用に供されていた一定の資産で、贈与の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されていたものをいう。
先代事業者の事業の用に供されていた一定の資産とは、(1)宅地等(400平方メートルまで)、(2)建物(床面積800平方メートルまで)、(3)(2)以外の減価償却資産で、・固定資産税の課税対象とされているもの、・自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの、・その他一定のもの(貨物運送用など一定の自動車、乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形固定資産)が該当する。
先代事業者が、配偶者の所有する土地の上に建物を建て、事業を行っている場合における土地など、先代事業者と生計を一にする親族が所有する上記(1)から(3)までの資産も、特定事業用資産に該当する。また、後継者が複数人の場合には、上記(1)及び(2)の面積は各後継者が取得した面積の合計で判定する。なお、後継者である受贈者の要件の一つに、贈与の日に20歳以上であることがあるが、2022年4月1日以後の贈与は、18歳以上になる。