2021-06-03
新型コロナ感染拡大のなか、テレワークなどで従業員を在宅勤務させる企業が増えているが、それに伴い従業員に支給する事務用品をはじめとした企業が負担する各種費用の税務上の取扱いに関心が寄せられている。こうしたなか、国税庁はこのほど、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を更新し、在宅勤務に係る環境整備に関する物品の支給及び在宅勤務に係る消耗品等の購入費用の支給の取扱いを追加した。
在宅勤務に係る環境整備に関する物品の支給については、在宅勤務を開始するに当たって、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機など、企業が従業員に環境整備に関する物品等を支給した場合は、従業員の給与として課税する必要はあるかとの質問に対し、「従業員の在宅勤務の環境整備のために企業が所有する物品等を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はない」と回答。
しかし、企業が従業員に環境整備に係る物品等を支給した場合(その物品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要があるとしている。上記の「貸与」については、例えば、企業が従業員に専ら業務に使用する目的で物品等を「支給」という形で配付し、その配付を受けた物品等を従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却を要する場合も、「貸与」とみて差し支えないと説明している。
また、在宅勤務に係る消耗品等の購入費用の支給については、在宅勤務の際に、従業員が負担したマスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品等の購入費用を会社が支給した場合の取扱いに対しては、在宅勤務手当としてではなく、企業が在宅勤務に通常必要な費用を「その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はない」と回答している。
ただし、在宅勤務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、勤務とは関係なく使用するマスク等の消耗品費)について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するもの、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税する必要がある、との注意点を示している。
「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」は↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf