改正産業競争力強化法が9日の参院本会議で可決成立

グリーン社会への転換やデジタル化への対応、コロナ禍で赤字を被った企業の事業再構築等を促進するための措置を規定した産業競争力強化法など6つの改正法を束ねた産業競争力強化法等改正法が、6月9日の参院本会議で可決、成立した。この背景には、新型コロナの感染拡大を受け、我が国経済は戦後最大の落込みを記録、危機に直面しているが、他方、古い経済社会システムから脱却し、「新たな日常」への構造変化を図るチャンスがある。

2021年度税制改正では、産業競争力強化法の改正を前提に、税制優遇措置として、カーボンニュートラル実現に向けた設備投資促進税制が創設された。脱炭素化効果が高く、新たな需要の拡大に寄与することが見込まれる製品(化合物パワー半導体、燃料電池、電気自動車等向けリチウムイオン蓄電池、洋上風力発電設備の主要専用部品)の生産に専ら使用される設備の導入に対し、税額控除10%又は特別償却50%を認める。

また、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進税制の創設も、産業競争力強化法の改正が前提となる。部門・拠点ごとではないデータ連携・共有を伴う全社的レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定した上で、DXの実現に必要なクラウド技術を活用したデジタル関連投資(ソフト・ハード双方)に対し、最大5%の税額控除又は30%の特別償却を認める。

さらに、コロナ禍において経営改革に取り組む企業向けの「繰越欠損金の控除上限」の特例が設けられた。コロナ禍での事業再構築の計画を主務大臣が認定した場合、原則、2020度及び2021度の欠損金を、黒字転換から最長5年間にわたり、現行の50%から最大100%に控除上限を引き上げる特例だ(前年度に実際に行った成長投資の投資金額まで控除上限を拡大)。中小企業は現行でも100%まで控除可能なので、中堅・大企業向けの特例だ。

適用は、改正産業競争力強化法の施行の日から、カーボンニュートラル投資促進税制は2024年3月31日まで、DX投資促進税制は2023年3月31日まで。繰越欠損金の控除上限の特例は、施行の日から1年以内に計画の認定を受けた場合に、原則、2020年度・2021度の欠損金を対象に黒字転換後最長5年間となる。なお、改正法の施行日は、経済産業省が11日に公表した閣議決定された政令によると、6月16日の予定となっている。

産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の概要は↓
https://www.meti.go.jp/press/2020/02/20210205001/20210205001-1.pdf