2019年度分の黒字法人の所得金額が10年ぶりに減少

国税庁が公表した「2019年度分会社標本調査」結果によると、同年度分の法 人数は275万8420社(前年度比0.7%増)で、このうち連結親法人は1721社(同▲1.7%)、連結子法人は1万2983社(同▲2.1%)となっている。連結子法人を差し引いた274万5437社のうち利益計上法人(黒字法人)が105万4080社(同2.1%増)で9年連続の増加、欠損法人(赤字法人)は169万1357社(同▲0.1%)で2年ぶりの減少となった。

全法人に占める欠損法人の割合は 61. 6%となり、過去最も欠損割合が高い72.8%となった2009年度分から10年連続して下がり続けており、全体的には景気は上昇傾向にあるといえる。ただし、2019年度調査では、調査対象法人の約3割を占める2020年1月~3月決算法人については、新型コロナウイルス感染症の影響が一部反映されたことにより、黒字法人の所得金額は2009年度分以来となる減少に転じた。

全法人の営業収入金額は1484兆7912億円(前年度比▲4.1%)で、このうち黒字法人の営業収入金額は1133兆7453億円(同▲10.7%)と大幅に減少し、ともに4年ぶりに減少した。この結果、黒字法人の所得金額も63兆2588億円(同▲9.3%)と、2009年度分以来10年ぶりに減少に転じた。過去最大だった2018年度分に比べて6兆4868億円減少している。また、法人税額も11兆2115億円(同▲7.8%)と12兆円を割っている。

繰越欠損金の当期控除額は6兆3918億円(前年度比▲24.3%)で3年ぶりに減少、翌期繰越額は60兆9538億円(同▲3.8%)で2年連続の減少。1事業年度当たり当期控除額は、全体では730万円で、業種別では、「鉱業」(3373万円)、「金融保険業」(1840万円)、「化学工業」(1509万円)の順。1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では3647万円で、業種別では、「金融保険業」(1億2133万円)、「鉱業」(1億485万円)の順だった。

一方、“景気のバロメーター”と言われる交際費等の支出額は、3兆9402億円と前年度比▲0.5%減少して8年ぶりのマイナスとなった。また、このうち税法上損金不算入とされた金額は24.8%に当たる9783億円(同▲6.7%)だった。営業収入金額10万円当たりの交際費支出額は、全体では265円で、これを業種別にみると、最も多いのは「建設業」の706円、最も少ないのは「鉱業」147円となっている。

2019年度分会社標本調査結果の概要は↓
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon2019/pdf/kekka.pdf