文科省、ゴルフ場利用税の在り方の見直しを要望

ゴルフ場利用税について、文部科学省は2013年から昨年まで9年連続して廃止等を要望していたが、2022年度改正に向けては、スポーツを行う中で唯一ゴルフのみに課税されている「ゴルフ場利用税」の在り方を見直すことを要望した。同省は、要望理由として、スポーツの中で唯一、ゴルフにのみ課税されている状態であり、他のスポーツと同様に課税対象とすることなく、公平に行える環境を整えることが目的とした。

ゴルフ場でプレーすると、国民体育大会やオリンピックなどの国際的な大会に参加するゴルファーや18歳未満・70歳以上、障害者、学校の授業で利用する場合を除き、都道府県税であるゴルフ場利用税が利用者に課税される。税率は、1人1日につき800円だが、都道府県は、ゴルフ場の整備状況に応じて1200円を限度に税率に差を設けられる。税収は431億円(2019年度)にのぼり、税収の7割はゴルフ場がある市町村に配分される。

2022年度税制改正要望においては、2003年度のゴルフ場利用税の一部非課税措置の導入以来、非課税措置適用者は約411万人(2003年度)から約1932万人(2019年度)に、総利用者数に占める割合は4.6%(2003年度)から22.47%(2019年度)に増加しており、ゴルフ場利用税の在り方を見直していくことはゴルフ場利用者の増加に効果があり、スポーツ実施率の向上及びゴルフの振興につながるとの効果見込みを挙げている。

税制改正要望の背景には、ゴルフ人口やゴルフ場の減少がある。国内のゴルフ人口は1991年の約1700万人から2016年の約890万人に、若い世代を中心に半数近く減少し、ゴルフ場は2012年度の2460ヵ所から2019年度の約2227ヵ所に減少していることがある。文科省は、ゴルフ場の閉鎖を防止しゴルフ場を活用した地域の振興を図るとともに、ゴルフ人口の増加の方策を検討する必要があるとの考えを示している。

これまで要望が実現しなかったのは、総務省によると、ゴルフ場利用税はゴルフ場関連の行政サービスのための貴重な財源となっており、また、ゴルフ利用料金は、他のスポーツ施設利用料金と比べ一般に高額なので利用者の担税力に着目して課税していることが理由。コロナ禍の影響で地方財政は厳しい。税収減に直結する「廃止」ではなく、「見直し」が要望としてどう反映されるか。年末に公表される予定の与党税制改正大綱が注目される。

文科省の税制改正要望は↓
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/r04_youbou07_mext.html