2017-02-17
2014年6月に、公正性の向上と使いやすさの向上の観点から行政不服審査法の抜本的な見直しが行われるとともに、国税通則法の改正により、国税不服申立制度についても改正された。したがって、2016年4月1日以降に行われる税務調査の結果に基づいて行われる処分は、新しい不服申立制度が適用されることとなったため注意が必要だ。主な改正には、不服申立期間の延長や異議申立前置の廃止などがある。
不服申立期間とは、不服申立てを行う場合に定められているその不服申立てを行うことができる期間だが、原則として、不服申立期間を過ぎて申立てをした場合は、不適法なものとして審理の対象とされず却下される。その不服申立期間は、改正前は原則として「処分があったことを知った日の翌日から2ヵ月以内」とされていたが、改正後は「3ヵ月以内」とされ、不服申立期間が延長されている。
異議申立前置とは、原処分庁(税務署や国税局)が行った処分については、一定の場合を除き、原則として原処分庁に対する「異議申立て」を経た後でなければ、国税不服審判所長に対する「審査請求」を行うことができないことをいう。改正後は、納税者の選択により、「異議申立て」を経ずに直接、「審査請求」を行うことができるようになった。また、「異議申立て」については、その名称が「再調査の請求」に変更されている。
そのほかの改正では、閲覧請求書類の範囲の拡大と写しの交付がある。審査請求人が担当審判官に対し、原処分庁から提出された書類その他の物件の閲覧を求めることができる「閲覧請求」は、改正前は、審査請求人は原処分庁から任意に提出された「処分の理由となった事実を証する書類等」に限り閲覧できることとされていた。改正後は、閲覧できる対象者に原処分庁なども含まれ、閲覧できる証拠書類等の範囲が拡大された。
具体的には、担当審判官が職権により提出を求めた帳簿書類その他の物件も閲覧の対象となった。また、改正前は認められていなかった審査請求人による閲覧書類の写しの交付請求が、改正後は、請求できるようになった。改正後の写しの交付は、用紙1枚につき10円の手数料で、また両面印刷の場合は片面を1枚として手数料を払うことで交付される。なお、カメラを持参して撮影することも認められるようになっている。