2022-02-17
2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書保存方式(インボイス制度)が導入される。2021年10月からインボイスを発行できる「適格請求書発行事業者」になるための登録申請が始まっているが、免税事業者が2023年10月1日の属する課税期間中に登録を受けた場合には、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられている。この経過措置期間以外ではインボイス発行事業者の登録は受けられない。
2022年度税制改正においては、この経過措置期間が2023年10月1日から2029年9月30日まで6年間延長される。これに伴い、この経過措置期間中はインボイスの登録申請書の提出のみで登録手続きが完了するため、課税選択届出書の提出は不要となる。インボイス発行事業者の登録を受けた場合は、登録日から課税事業者となり、基準期間の課税売上高にかかわらず、登録日から課税期間の末日までの期間について、消費税の申告が必要になる。
経過措置の適用で免税事業者がインボイス発行事業者(課税事業者)になった場合、改正前は、登録開始日から2年間は免税事業者になれない、いわゆる“2年縛り”の対象外とされていたが、改正後は、登録日が2023年10月1日の属する課税期間中である事業者以外は、その登録日の属する課税期間の翌課税期間からその登録日以後2年間は事業者免税点制度を適用しない、“2年縛り”の対象となるとされる。
また、インボイス制度開始後の一定期間は、免税事業者からの仕入れ税額相当額の一定割合を控除できる経過措置(2023年10月から2026年9月末は仕入税額相当額の80%、2026年10月から2029年9月末は仕入税額相当額の50%)がある。この適用要件に、免税事業者から受領する区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等の保存があるが、改正後は、区分記載請求書の電子データでの提供を受けて保存する場合も認める。
なお、調整対象固定資産(税抜100万円以上の棚卸以外の資産)取得時のいわゆる“3年縛り”については、登録日が2023年10月1日の属する課税期間か否かに関係なく、改正前同様、対象外になるという。“3年縛り”とは、租税回避防止の観点から、免税事業者になれない期間中に調整対象固定資産を取得等した場合には、さらにその取得日の属する課税期間の初日から3年間は免税事業者になれないというもの。