一定事由に該当すると取り消される青色申告の承認

法人税に関する青色申告普及率は90%を超えている。法人が青色申告する主なメリットには、青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金の繰越控除や、欠損金の繰戻しによる法人税額の還付、推計による更正又は決定の禁止、中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入、中小企業投資促進税制などがある。もし青色申告が取り消された場合には、これらのメリットが活用できないので、決算上大きなマイナスとなる。

法人税法127条に青色申告承認の取消しの規定があり、納税地の所轄税務署長は、一定事由があった場合にはその事業年度まで遡って、青色申告の承認を取り消すことができるとされている。したがって、一定事由に該当した場合に青色申告の承認は取り消されることがある。一定事由に該当する場合については、規定によれば、まず、(1)帳簿書類の備付け、記録又は保存が財務省令で定めるところに従って行われていないことがある。

次に、(2)帳簿書類についての税務署長の指示に従わなかったことや、(3)帳簿書類に取引の全部又は一部を隠ぺいし又は仮装して記載し又は記録し、その他その記載又は記録をした事項の全体についてその真実性を疑うに足りる相当の理由があること、(4)無申告や確定申告書を申告期限内に提出しなかった場合、などに該当すると税務署長は青色申告の承認を取り消すことができるとされている。

このように、確定申告書を申告期限までに提出しなかった場合にも取り消されてしまうのだから注意が必要だ。ただし、期限後申告に一度なってしまっただけで取り消されるわけではない。法人税の青色申告の承認の取消しについては国税庁から事務運営指針が出されおり、その指針によると、「無申告又は期限後申告の場合における取消しについては、2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合に行うもの」とされている。

この場合、「当該2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認を取り消す」とされているので、あくまでも2事業年度連続して期限内に提出できなかった場合に取消しの処分が行われることになる。一度の期限後申告のみで取消しはされないとはいえ、期限内申告は必ず守りたい。そのためには申告月になって慌てないよう、日々の正確な記帳、帳簿作成が重要になってくるのはいうまでもない。