2020年分の事業所得者の平均所得金額は420万円

国税庁が公表した「2020年分申告所得税標本調査」結果によると、同年分の申告納税者数は657万人で、対前年比4.3%増と3年振りに増加した。その所得金額は42兆5796億円(対前年比2.3%増)で2年ぶりの増加、税額は5兆8342億円(同▲4.8%)で2年連続の減少。同調査は、申告所得税納税者の所得者区分別・所得種類別の構成や各種控除の適用状況の実態を明らかにし、税務行政の運営等の基礎資料とすることを目的とするもの。

所得者区分別の構成割合をみると、給与所得者(構成割合39.3%)及び他の区分に該当しない所得者(同4.8%)の申告納税者数が44.0%だが、所得金額、税額はそれぞれ63.9%、71.7%。一方、事業所得者(同27.5%)、不動産所得者(16.2%)及び雑所得者(同12.3%)の申告納税者数は全体の56.0%だが、所得金額、税額では事業所得者等が所得金額、税額が36.1%、28.3%と前者に比べ割合は低い。

所得者区分別に所得金額をみると、事業所得者は7兆5960億円、不動産所得者は5兆7465億円、給与所得者は18兆7549億円、雑所得者は2兆426億円、他の区分に該当しない所得者は8兆4351億円。申告納税者1人当たりの平均所得金額は648万円(対前年比▲1.9%)で、所得者区分別にみると、事業所得者420万円、不動産所得者540万円、給与所得者727万円、雑所得者253万円、他の区分に該当しない所得者は2686万円となっている。

2020年分における所得控除の総額は、9兆4559億円(対前年比8.7%増)で所得金額の22.2%に当たり、申告納税者1人当たりの控除額は144万円(同4.3%増)。所得控除額の構成割合をみると、社会保険料控除、基礎控除及び配偶者控除が、それぞれ38.2%、32.3%、6.1%。また、税額控除の総額は1127億円(同5.4%増)。税額控除の内訳をみると、住宅借入金等特別控除が44.8%、配当控除が31.7%となっている。

2020年分の青色申告の申告納税者272万人のうち、青色事業専従者のある者の割合は19.8%と約5人に1人の割合だが、事業所得者だけについてみると35.9%と3人に1人を超えている。また、青色事業専従者1人当たりの平均給与額は、前年よりも7万円多い222万円だった。青色申告以外の申告納税者のうち、事業専従者控除の適用を受けている者の割合は2.2%。これを事業所得者だけについてみると10.4%となっている。

2020年分申告所得税標本調査結果は↓
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/shinkokuhyohon2020/pdf/gaiyo.pdf