マイナンバー記載で国税・地方税当局に齟齬が発覚!

2016年1月1日以後に支払うべき給与等に係る給与所得の源泉徴収票にマイナンバー(個人番号)を記載する必要があるが、これに関して国税当局と地方税当局で取扱いの違いが明らかになって、実務者の間で困惑する事態が生じている。というのも、パートやアルバイトにおける源泉徴収票への記載は、国税ではその年中の給与等の支払金額が50万円以下であれば不要である一方、地方税は支払金額の制限がないことが要因となっている。

今回の話は、ある小売業のA社が全国各地で自社製品の販促会を、その都度、アルバイトを数人雇って数日間開いたというもの。アルバイトの日給は1万円前後で源泉徴収はしていても、税務署に提出する源泉徴収票には、アルバイトの氏名を記載する必要はなく済んだが、地方当局へ提出する給与支払報告書(個人明細書)には、支払金額での記載不要の制限がなく、アルバイト名も記載の必要がありマイナンバーの記載欄もある。

困惑したA社が顧問税理士に相談したところ、「国税でマイナンバー記載が不要な人に、地方税ではマイナンバーの記載を求められても間に合わない」と助言され、地方自治体にはマイナンバー欄を空欄のまま給与支払報告書を提出した。地方自治体も「当分の間は、追及しない」ということで事なきを得たという。しかしこれは、そもそも国税と地方税で源泉徴収の取扱いが異なることに起因する。早急に取扱いに整合性を図るべきではないだろうか。

なお、企業が税務署に提出する源泉徴収票には、当然ながら記載が不要の人のマイナンバーは収集しない。正社員、パート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、扶養控除等申告書を提出してもらっている人に支払う毎月の給料が8万8千円未満であれば、源泉徴収(所得税の給料天引き)をする必要がない。扶養控除等申告書を提出しなかった場合でも、その年中の給与等の支払金額が50万円未満であれば、源泉徴収票への記載は不要となる。