今年7月から仮想通貨の譲渡に係る消費税が非課税に

先日、「インターネット上で取引する仮想通貨『ビットコイン』の価格が最高値を更新し、天井を打つ気配が見えない状況」との新聞報道があり、ビットコイン取引が盛況なことをうかがわせたが、2017年度税制改正法案には、このビットコインなどの仮想通貨の譲渡について、2017年7月1日以降、消費税を非課税扱いとすることが盛り込まれている。現行、仮想通貨は、購入時・利用時の2回ともに消費税が課されている。

現行の消費税法上、現金・小切手などの支払手段や、商品券・プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡などが非課税とされているが、仮想通貨はいずれにも該当しないため、消費税が課せられると解されていた。現在は仮想通貨取引所でビットコインなどの仮想通貨を購入する際に8%の消費税がかかり、消費者である利用者は手数料等とともに支払い、二重課税ではないかとの声が上がっていた。

法的な規定が曖昧だった仮想通貨だが、昨年5月に成立した改正資金決済法(2017年4月に施行予定)において「支払手段」と定義づけられたことにより、この定義に沿って仮想通貨を非課税とすることになった。改正資金決済法では、仮想通貨の定義について、不特定の者との間で、購入・売却できる財産的価値であって電子情報処理組織(コンピュータシステム)で移転でき、また、それらと相互に交換できる財産的価値としている。

このように、資金決済法の改正によって仮想通貨が支払の手段として位置付けられたことや、米・英・フランスなど主要7ヵ国(G7)の中で、仮想通貨に消費税を課しているのは日本だけであることを踏まえ、見直しとなったものだ。今回の改正は、2017年7月1日以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れについて適用される。同日以後に事業者が譲渡のために行った仮想通貨の取得は「非課税仕入れ」となる。

また、適用前の駆込み駈込み取得での仕入税額控除の利用を防ぐため、仕入税額控除の利用が制限される。事業者が、2017年6月30日に100万円(税抜き)以上の仮想通貨を保有していた場合において、同年6月1日から6月30日までの間の各日の仮想通貨の保有数量の平均保有数量に対して増加したときは、その増加した部分の課税仕入れに係る消費税について仕入税額控除制度の適用は認めないとしている。