2022-06-23
納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が20日に公表した再調査の請求や審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2021年度)の再調査の請求・審査請求・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は10.7%となった。
再調査の請求の発生件数は、消費税等(42.3%増の427件)などが大きく増加したことから、全体では前年度から11.9%増の1119件となった。処理件数は、「取下げ等」283件、「却下」57件、「棄却」775件、「一部取消」80件、「全部取消」3件の合計1198件(前年度比19.9%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは計83件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度(10.0%)から▲3.1ポイントの6.9%だった。
また、国税不服審判所への審査請求の発生件数は、法人税等(63.5%増の538件)などほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から9.9%増の2458件。処理件数は、「取下げ」294件、「却下」73件、「棄却」1539件、「一部取消」137件、「全部取消」160件の合計2282件(前年度比▲2.0%)だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は同3.0ポイント増の13.0%となった。
一方、訴訟となった発生件数は、所得税(5.4%増の59件)や消費税(66.7%増の25件)、徴収関係(45.8%増の35件)など多くの税目が増加したことから、全体では前年度を13.3%上回る187件だった。訴訟の終結件数は、「取下げ等」11件、「却下」17件、「棄却」158件、「国の一部敗訴」6件、「国の全部敗訴」7件の合計199件(前年度比10.6%増)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同▲1.3ポイントの6.5%となった。
このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、2021年度中に再調査の請求・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計3679件(前年度3507件)のうち393件(同347件)で、その割合は10.7%(同9.9%)と、再調査の請求・訴訟の救済割合は減少したものの、審査請求での救済割合が増加したことから、前年度に比べて0.8ポイント増で推移している。
2021年度における再調査の請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/saichosa/index.htm
同審査請求の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/shinsa/index.htm
同訴訟の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/sosho/index.htm