地方拠点強化税制の「移転型」の適用要件を緩和

2017年度税制改正では、地方にある本社機能の拡充(拡充型)や、拡充型より有利な税制優遇措置が適用される、東京23区に本社のある企業が地方に本社を移転(移転型)した場合に、ともに税制優遇措置の適用を受けられる地方拠点強化税制が拡充される。その主な内容は、(1)オフィス減税の特例措置の現行水準の延長、(2)雇用促進税制の支援の強化、(3)移転型の要件緩和、である。

このうち、移転型の要件緩和は、地域再生法施行規則の一部を改正する内閣府令により行うもので、移転型の適用を受けるための、「特定業務施設の増加従業員の過半数が特定集中地域(東京23区)にある移転元の本社機能からの転勤者であること」との要件を、「特定集中地域のおける従業員の減少分を上限として、特定業務施設における新規雇用者の一部を東京23区にある移転元の本社機能からの転勤者とみなす」ことに改める。

特定業務施設とは本社機能のある地方事業所のことだが、この見直しによって、地方事業所の新規雇用者のうち、東京23区から地方事業所への転勤者が実際にいなくても、たとえば、定年退職や自己都合で退職した従業員数減少分までは転勤者とみなされることになる。したがって、特定業務施設の当期増加雇用者に対して税額控除する雇用促進税制において有利に働くことになる。内閣府令の施行予定は本年4月1日。

地方拠点強化税制の適用には、拡充・移転先の都道府県知事から「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」の認定を受けることが必要で、新・増設した建物等の地方事業所業務施設の特別償却又は税額控除の適用が受けられる「オフィス減税」と、地方事業所の増加従業員数に応じて税額控除の適用が受けられる「雇用促進税制」の2つの税制優遇措置があり、両制度とも拡充型より移転型を優遇している。

オフィス減税のうち、税額控除(拡充型:4%、移転型:7%)は、計画認定の年度が2017年度の場合、拡充型が2%、移転型が4%と下がることから、改正により、現行水準まで引き上げる。雇用促進税制の税額控除制度は、新規雇用が無期・フルタイム社員の場合は拡充型、移転型ともに現行に10万円を上乗せする。一方、新規の非正規社員の比率が全国平均(40%)を超える場合、超過した非正規社員の税額控除額は10万円減額する。