消費税の課税仕入れ関係の計算で誤りやすい事例

消費税額の「仕入控除税額」の計算方法は、その課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上であるか、課税期間中の課税売上高が5億円超又は95%未満であるかにより異なる。課税期間中の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上の場合は、課税期間中の課税売上に係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除する。

一方、課税売上割合が5億円超又は95%未満の場合には、課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除するのではなく、課税売上に対応する部分のみを控除する。ところで、課税仕入れ関係の計算で誤りやすい事例をみると、事業用土地を譲渡したが、その対価の額を課税売上割合の分母の金額に含めていないケースがある。土地の譲渡の対価の額は非課税売上となることから、課税売上割合の計算上、分母の金額に含める必要がある。

また、課税仕入れに係る税額の計算で、課税仕入れに係る支払い対価の額(税込み)に110分の10を乗じて計算している例がみられるが、これでいいのだろうか? 消費税の税率は10%だが、国税の消費税率が7.8%、地方消費税の2.2%相当を含めると10%ということになる。つまり、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)に110分の7.8を乗じて計算することになる。このへんが間違いやすいので要注意だ。

さらに、一般課税の申告に当たり、所得税の決算書等の経費科目ごとに一括して課否判定を行い、仕入控除税額の計算をしている例も見受けられる。こうした場合、例えば、接待交際費、雑費等のなかに、商品券やビール券、収入印紙の購入代金など、課税仕入れに該当しないものが含まれている場合には、それらを除いて計算する必要があるので十分に注意したい。

そのほか、事業と家事に共用する減価償却資産を取得しているが、その取得価額の全額を課税仕入れに係る支払対価の額としているケースだ。家事共用資産を取得した場合、その家事使用に係る部分は、課税仕入れに該当しない。このケースでは、その資産の取得に係る課税仕入れに係る支払対価の額は、その資産の使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算しなければならない。