2022-08-16
圧縮記帳とは、税法上の規定であり、有形固定資産の取得に際して収益が発生した場合、その取得価額を減額(圧縮)することにより圧縮損を計上し、収益金額と圧縮損とを相殺してその年度の税負担を軽減する効果をもたせるものだ。ただし、単なる課税の繰延べに過ぎず、圧縮損が計上された初年度は税負担が少なくなるが、その分有形固定資産が減額され、減価償却費が少なくなることから、その後の各年度の税負担は増加することになる。
そこで、1年以上所有していた土地と土地、あるいは建物と建物などを交換した場合には、一定の要件を満たしていれば圧縮記帳の特例が認められることとされている。つまり、法人が同じ種類の固定資産を交換により取得した場合には、圧縮限度額の範囲内で交換により取得した資産の帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができる。
この圧縮記帳の対象となる交換は、以下の全ての要件を満たす必要がある。(1)交換による譲渡資産と取得資産が、土地と土地のように互いに同じ種類の資産であること。なお、借地権は土地に含まれ、また、建物とともに交換する建物の附属設備や構築物はその建物に含まれる。(2)譲渡資産も取得資産も固定資産であること。だから、不動産業者などが販売目的の所有土地・建物などの棚卸資産を交換した場合には、圧縮記帳の対象とはならない。
(3)譲渡資産も取得資産も、それぞれの所有者がともに1年以上所有していたものであること。(4)取得資産は、相手方が交換するために取得した資産でないこと。(5)取得資産を交換譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。この用途は、土地については、宅地、田畑、山林、鉱泉地、池・沼、牧場・原野、その他に区分され、また、建物については、居住用、店舗・事務所用、工場用、倉庫用、その他用に区分されている。
(6)交換した時における譲渡資産の価額(時価)と取得資産の価額(時価)との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20%以内であること。これらの全ての条件に該当する交換が、この圧縮記帳の対象となる。例えば、(1)から(5)の要件を全て満たしていても、取得資産か譲渡資産のいずれか多い価額の20%を超えた交換差金のやり取りがあると、圧縮記帳の適用は認められないことになる。