来年4月施行の相続土地国庫帰属制度の政令案を公表

法務省は、相続等により取得した土地を手放して国庫に帰属することを認める「相続土地国庫帰属制度」の政令案を公表し、制度を利用するために必要となる負担金について、宅地(市街化区域・用途地域が指定されている地域内)や農用地(市街化区域・用途地域が指定されている地域内、農用地区域内等)、森林は面積に応じて算定し、これに該当しない宅地や農用地及び雑種地・原野等は面積にかかわらず20万円とした。

政令案では制度の適用外となる土地の詳細な要件を規定。面積に応じて算定される負担金は、宅地では面積別に50平方メートル以下から800平方メートル超までの6区分を設けた。例えば100平方メートルの宅地の場合、面積に2720(円/平方メートル)を乗じ、27万6千円を加えた額で算定されるため、54万8千円が負担金になる。この負担金は、10年分の土地管理費相当額として、柵・看板設置費用、草刈・巡回費用等に使われる。

一方で、土地の管理コストの国への不当な転嫁やモラルハザードの発生を防止する必要があるため、建物の存する土地を始め、土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある、担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている、土壌汚染や埋設物がある、権利関係に争いがある、崖がある、通路など他人によって使用される予定がある、などの土地に該当した場合は、制度適用外となることが法律で規定されている。

政令案では、崖の場合は勾配が30度以上であり、かつ高さが5m以上のものや、他人による使用が予定される土地の場合は、墓地、境内地、現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地、通常の管理又は処分をすることができない土地としては、隣接所有者等によって通行が現に妨害されている土地や所有権に基づく使用収益が現に妨害されている土地、などが適用外となることが具体的に示されている。

相続土地国庫帰属制度を定めた法律は、相続により、望まない土地を取得した者の負担感が大きく、管理不全化を招いているとの声を背景に、所有者不明土地の発生を抑制するため、相続又は遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とするためのもの。昨年2021年4月に成立し、2023年4月27日から施行されることになっている。

政令案の概要は↓
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239524