2015年度分の赤字法人割合は6年連続減少の64.3%に

国税庁が3月30日に公表した「2015年度分会社標本調査」結果によると、2015年度分の法人数は264万1848社で、前年度より1.0%増と3年連続で増加した。このうち、連結親法人は1584社で同6.1%増、連結子法人は1万1412社で同6.5%増。連結子法人を除いた263万436社のうち、赤字法人は169万859社で、赤字法人割合は前年度比2.1ポイント減の64.3%となり6年連続で減少したが、高水準であることに変わりない。

2015年度分の営業収入金額は、前年度に比べ▲5.8%の1449兆5528億円と4年ぶりに減少。黒字法人の営業収入金額は同▲4.5%の1118兆9192億円と6年ぶりに減少、所得金額は同6.1%増の57兆2354億円で過去最大となり、6年連続の増加となった。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.5ポイント上昇の5.1%となった。赤字法人割合は高水準だったが、順調に景気回復を図っている企業との二極化がうかがえる。

黒字法人の益金処分総額は前年比5.4%増の75兆9187億円。内訳は、支払配当が同30.2%増の21兆9459億円(構成比28.9%)、法人税額が同▲3.9%の10兆9994億円(同14.5%)、その他の社外流出が同14.6%増の8兆3315億円(同11.0%)で、これらを引いた社内留保が同▲7.1%の34兆6419億円と45.6%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、2006年5月1日以後終了事業年度から利益処分項目ではなくなっている。

一方、2016年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ7.2%増の3兆4838億円と4年連続で増加したが、過去最高だった1992年分の6兆2078億円に比べほぼ半減している。このうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同1.6%増の9065億円となり、損金不算入割合は同1.4ポイント減少の26.0%と、昨年(27.4%)に引き続き1972年(昭和47年)の水準となった。

これは、2014年に全法人を対象に交際費等における接待飲食費の50%を損金算入できる措置が創設されたため。営業収入10万円当たりの交際費等支出額は、全体では前年度より29円多い240円。これを資本階級別にみると、資本金1千万円以下の階級が586円と高い一方、資本金が多くなるにつれ減少し、資本金10億円以上では100円と低い。また、業種別にみると、「建設業」が569円と高い一方、「鉱業」が168円と低くなっている。

また、企業が抱える繰越欠損金の当期控除額は8兆2050億円で、翌期繰越額(年度末の繰越欠損金残高)は65兆3731億円。翌期繰越額は前年度に比べ2.2%増と7年ぶりに増加したが、バブル崩壊直後の1996年度以来の低水準が続いている。1事業年度当たり当期控除額は、全体では903万円。また、1事業年度当たり翌期繰越額は、全体では3900万円で、これを業種別にみると、「金融保険業」(2億664万円)が突出して多い。

同実態調査結果の概要は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2015/pdf/kekka.pdf