相続登記の義務化を「知らない」が66%~法務省調査

所有者不明土地問題解消のための新制度として、相続土地国庫帰属制度が2023年4月27日から、相続登記の申請義務化が2024年4月1日から施行されることになっている。法務省が、本人、配偶者又は親が不動産を所有している20代以上の成人男女を対象に7月末に実施した「相続登記の義務化等の認知度調査」では、再来年4月からスタートする相続登記の申請義務化を「知らない」人が66%にのぼることが明らかになった。

調査結果(有効回答数1200人:20代から70代以上まで各世代200人ずつ)によれば、相続で不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなる相続登記の義務化を「知らない」と答えた人が66.4%(「聞いたことがあるが、よく知らない」23.3%、「全く知らない」43.1%)を占めた。「詳しく知っている」は7.8%、「大体知っている」は25.8%だった。

相続登記の義務化の認知度を世代別に調べたところ、「知っている」と答えたのは20代が41.5%で最も多く、次いで、70代以上(37.0%)、60代(36.5%)が続いた。逆に、「(全く+よく)知らない」と答えたのは40代が75.0%で最も多く、次いで、50代(72.0%)、30代(66.0%)となった。相続に関心が深いと思われる中年世代の認知度が低かったという意外な結果を示している。

また、相続登記の義務化に伴い、負担の軽い「相続人申告登記」という新しい登記手続きが導入されることを「知らない」と答えた人が80.8%(「よく知らない」20.8%、「全く知らない」60.0%)を占めた。さらに、相続した土地のうち不要なものを一定の条件を満たせば国庫に帰属させることができる相続土地国庫帰属制度を「知らない」と答えた人が84.0%(「よく知らない」22.7%、「全く知らない」61.3%)だった。

一方、今後、自分が相続手続き全般をする場合の相談先(複数回答)については、「親族・知り合い」と答えた人が36.8%で最も多く、次いで、「市役所等の自治体」と「司法書士」がともに32.8%、「弁護士・税理士・公認会計士」(30.1%)、「法務局」(27.5%)などが続いた。なお、これまでに経験した相続の際、「遺産分割を行った」人は約58%、このうち、「相続人だけで相談し、合意」が約74%、「専門家が加わって合意」が約22%だった。

同調査結果の概要は↓
https://www.moj.go.jp/content/001379740.pdf