厚労省、健康・医療分野に資する項目中心に改正要望

厚生労働省は、2023年度税制改正要望において、健康・医療分野に資する改正項目として、(1)地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の延長、(2)医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等、(3)医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延長、(4)出産育児一時金の支給額の見直しに伴う非課税措置等の拡充、(5)感染症等専門家組織(仮称)の創設に伴う税制上の所要の措置などを盛り込んだ。

地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の延長は、地域の医療機関の再編に伴う経済的負担を軽減することで、より一層の地域医療構想を推進する必要があり、その地域医療構想を推進するため、医療介護総合確保法に規定する認定再編計画に基づく医療機関の再編に伴い取得する土地又は建物について、登録免許税を減免する税制措置の適用期限を2025年3月31日まで2年間延長することを要望している。

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延長等については、持分あり医療法人(2021年度末時点で約3.8万法人)が持分なし医療法人(同約2万法人)に円滑に移行し、引き続き地域医療の担い手として継続していけるよう、2014年度税制改正により、医療法上の持分なし医療法人への移行計画の認定制度を前提として、「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置」が創設された。

2017年10月には、特例措置の期限を延長するとともに、出資者の持分放棄に伴い医療法人へ課されるみなし贈与税の非課税措置も導入され、その後、特例措置の期限は2023年9月末まで延長されている。今回の要望では、その期限が終了することから、同特例措置を2026年9月末まで延長し、また、更なる移行促進のため、認定から3年以内の移行期限を、認定から5年以内に緩和することを求めている。

医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延長では、(A)長時間勤務の実態が指摘される医師等の勤務時間短縮に資する器具及び備品、ソフトウェアについて15%の特別償却を認める制度、(B)地域医療構想実現のための病床の再編等を行った場合に取得する建物及びその附属設備について8%の特別償却を認める制度、(C)取得価額500万円以上の高額な医療機器に係る特別償却制度を、それぞれ2年間延長することを要望した。

出産育児一時金の支給額の見直しに伴う非課税措置等の拡充は、出産育児一時金は、健康保険法等に基づく保険給付として、被保険者やその被扶養者が出産したとき、一定金額を支給して、出産に要する経済的負担の軽減を図るものだが、2022年度に出産育児一時金の支給額を見直し、政令等を改正する場合において、2023年度以降の出産育児一時金について、引き続き、健康保険法に基づく所得税の非課税措置等を講じることを求めている。

厚労省の2023年度税制改正要望の概要は↓
https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000981433.pdf