2022-09-21
相続や遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、2016年4月1日から2023年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときも、譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができる。これを、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例という。大きな節税となるが、すべての空き家が控除対象となるわけではないので、確認する必要がある。
特例の対象となる「被相続人居住用家屋」とは、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋で、(1)1981年5月31日以前に建築されたこと、(2)区分所有建物登記がされている建物でないこと、(3)相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと、の3つの要件すべてに当てはまるもの(主として被相続人の居住の用に供されていた一の建築物に限る)をいう。
要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所するなど、特定の事由で相続開始直前に被相続人の居住用に供されていなかった場合で、一定要件を満たすときは、その居住用に供されなくなる直前まで被相続人の居住用に供されていた家屋は被相続人居住用家屋に該当する。また、特例の対象となる「被相続人居住用家屋の敷地等」とは、相続開始直前に被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地またはその土地の上に存する権利をいう。
特例の適用を受けるための要件は、(1)売った人が、相続や遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得したこと、(2)イ.相続や遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること、またはロ.相続や遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること。
さらに、(3)相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、(4)売却代金が1億円以下、がある。なお、被相続人居住用家屋と一体利用していた部分を別途分割して売却している場合などでの1億円以下かの判定は、相続時からこの特例の適用を受けて被相続人居住用家屋等を売却した日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に分割して売却した部分なども含めた売却代金により行う。