住団連、住宅税制の抜本的見直しに向けた提言を発表

住宅生産団体連合会(住団連)はこのほど、「住宅税制の抜本的見直しに向けた提言」を発表した。提言には、(1)消費税は、将来的には住宅サービスの消費への課税に移行すべきだが、実現には多くの課題があるので、当面の対応として軽減税率5%を導入すべき、(2)流通課税は、不動産取得税・登録免許税・印紙税を廃止すべき、(3)固定資産税は、建物への課税を廃止し、土地への課税に一本化すべき、との要望を盛り込んでいる。

提言の背景には、わが国の住宅ストック総数は約6240万戸と世帯数を上回る状況だが、住宅ストックの多くは省エネ・耐震等の性能が不十分であり、建替え等による性能向上が必要なことなどがある。だが、現状の建替え・リフォーム時の消費税を始めとする税負担は大きく、今後も負担増が見込まれる。そこで、ストック型社会に相応しい住宅税制を目指し、再構築する目的で、今後の住宅税制のあり方の方向性を示したとしている。

消費税については、住宅を取得した時期の消費税率の違いによって、税負担に不公平が発生してしまう。消費税率の引上げは住宅取得の意思決定に影響を及ぼし、増税のたびに市場が縮小してきたから中立性にも課題がある。そこで、取得費でなく毎年の住宅サービスの消費への課税を提案。その課税が実現するまでは当面の対応として、住宅にも軽減税率5%を適用して、消費税増税の影響のない住宅の取得環境を整備することを要望した。

流通課税は、不動産取得税は不動産流通の阻害要因でもあり、消費税との重複課税になっているので廃止すべきだが、同税は都道府県の貴重な財源なので、固定資産税を都道府県と市区町村が共同で徴収する地方税とし、減収分相当を都道府県分として上乗せ徴収する等の代わりの措置を講ずること。また、登録免許税は廃止し、登記事務に要する行政コストの実費相当額を税ではなく手数料として徴収すること、印紙税は廃止することを提言した。

固定資産税については、耐火性、耐震性、省エネ性などに優れた良質な住宅の居住者が、資産価値が高いという理由で高額の固定資産税負担を求められている。行政サービスの対価としての固定資産税を土地だけではなく建物にまで課すことは応益原則の観点から合理的であるとは言えない。そこで、土地のみを課税対象にすれば、性能が高い住宅ほど税額負担が大きくなると言った矛盾も解消できるとの考えを示している。

「住宅税制の抜本的見直しに向けた提言」は↓
https://www.judanren.or.jp/tax-reconsideration/document/juutakuzeisei.pdf