2022-11-11
インボイス制度では、新たに設立された法人が、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を、事業を開始した日の属する課税期間の末日までに提出した場合において、税務署長により適格請求書発行事業者登録簿への登載が行われたときは、その課税期間の初日に登録を受けたものとみなされる。これを、「新たに設立された法人等の登録時期の特例」という。
新たに設立された法人が免税事業者の場合に、事業開始(設立)時から、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、設立後、その課税期間の末日までに、消費税課税事業者選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要となる。また、免税事業者は、2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日から課税事業者となる経過措置が設けられている。
経過措置とは、免税事業者が登録を受けるためには、原則として、消費税課税事業者選択届出書を提出し、課税事業者となる必要があるが、2023年10月1日から2029年9月30日までの日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、消費税課税事業者選択届出書を提出しなくても、登録申請書を提出すれば登録を受けることができ、免税事業者がその課税期間中に登録を受けることとなった場合には、登録日から課税事業者となるというもの。
したがって、新たに設立された免税事業者の法人が、この経過措置の適用を受けることとなる場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出する必要はない。また、新たに設立された法人が課税事業者の場合には、事業を開始した課税期間の末日までに、事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した登録申請書を提出することで、新たに設立された法人等の登録時期の特例の適用を受けることができる。
以上、原則、適格請求書発行事業者の登録を受けられるのは、課税事業者だけで、新設法人は、設立事業年度は基準期間がないので、新設法人はそのままだと免税事業者になり、適格請求書発行事業者の登録が受けられない。しかしながら、免税事業者である新設法人についても、設立後、その課税期間の末日までに、課税選択届出書と登録申請書を併せて提出することで、設立時から、適格請求書発行事業者の登録を受けることができることになる。
この新たに設立された法人等の特例は、新設合併、新設分割、個人事業者の新規開業等の場合も同様となる。なお、吸収合併又は吸収分割により、登録を受けていた被合併法人又は分割法人の事業を承継した場合における吸収合併又は吸収分割があった日の属する課税期間についても新たに設立された法人等の登録時期の特例の適用がある。