2016年度改正を受けて第二次納税義務の見直しで通達

国税庁はこのほど、「国税徴収法基本通達」の一部改正についての法令解釈通達及び「第二次納税義務関係事務提要の制定について」の事務運営指針を公表するとともに、「第二次納税義務関係事務提要の制定について」の法令解釈通達を廃止したことを明らかにした。これは、2016年度税制改正において、国税徴収法が改正され、事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務の規定が改正されたことに伴うもの。

改正前の国税徴収法では、「納税者が、親族その他納税者と特殊関係のある個人又は同族会社など一定の者に事業を譲渡し、かつ、譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営んでいる場合において、その納税者が国税を滞納し、税収不足が生じたときは、譲受財産(取得財産を含む)を限度として、譲受人がその滞納に係る国税の第二次納税義務を負う」とされていた。

したがって、納税者が同一生計内など親近な関係者に事業譲渡がされる場合、会社の電話窓口等を変えることなく事務所のみを他のビルに移転して事業を継続させるケースでは第二次納税義務の要件に該当しなかった。また、譲受財産に含まれる取得財産は、譲り受けた財産の交換によって取得した財産や売却によって取得した代金等をいい、譲り受けた売掛金等が回収されて費消された場合には、第二次納税義務を課すことができなかった。

そこで、2016年度税制改正においては、(1)第二次納税義務者の範囲を、納税者と生計を一にする親族等又は特定支配関係同族会社に限定、(2)譲受事業の同一場所要件について、ビルを違えれば対象外となったり、現在ではネット環境があればできる事業もあり、場所が重要な要素でなくなってきていることから、同要件を廃止、(3)「譲受財産を限度」としていた第二次納税義務の責任について、「譲受財産の価額を限度」、と見直された。

この改正は、2017年1月1日以後に滞納となった国税(同日前に事業を譲渡した場合におけるその事業に係るものを除く)について適用し、同日前に滞納となっている国税については、従前の通りとされている。つまり、国税の滞納もしくは事業譲渡のいずれかが2016年12月31日以前に行われている場合には、旧法によることになる。