インボイス登録率は44.6%、法人と個人企業で二極化

インボイス制度の登録期限まで4ヵ月を切った。政府が検討する小規模事業者への税負担軽減の議論なども背景に、11月の登録数は約30万件に達し、11月末で累計172万件、登録率は44.6%に上昇した。法人登録の促進は継続し、個人企業も月次では前月の登録数から4割増えたが、依然として個人企業の登録率は低水準が続いている。政府が検討するフリーランスなどの小規模事業者への支援策を見定めている個人企業も多いとみられる。

東京商工リサーチが国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データを独自に分析したところ、国税庁によると、インボイス登録事業者のうち、2022年11月末の登録数は172万3746件だった。総務省「2016年経済センサス」に基づく法人数は187万7438件で、法人の登録数は134万6079件。登録率は71.6%と7割を占めた。個人企業数は197万9019件に対し、登録数は37万7667件で、登録率は19.0%と2割に満たなかった。

国税庁の2020年度統計年報の課税事業者数は約315万件で、法人約205万件、個人企業約110万件。課税事業者すべてが登録すると仮定すると、法人も個人企業も残り約70万件となる。個人企業は、売上高1000万円以下の免税事業者が多く、法人より登録率は低くなるが、免税事業者から課税事業者への移行も一定数あることから、登録が遅れた状況が続いている。単純計算で月間17万5000件の登録が必要で、駆込み申請も予想される。

2022年11月末の法人登録済みの134万6079件を都道府県別にみると、登録数の最多は「東京都」で、累計23万2268件に達し、11月だけで4万6655件が登録。次いで「大阪府」の11万1717件など大都市が上位を占めた。一方、最少は「鳥取県」の5300件だった。登録率では「東京都」が再びトップに返り咲き85.4%、2位に下がった「大阪府」は79.9%。一方、最低は「秋田県」の56.6%、「山形県」の58.7%と東北2県の登録率が低かった。

政府や与党は、免税事業者が課税事業者を選択した場合の軽減措置などを講じる方針だが、負担が重くなる小規模事業者の反対意見は根強く、軽減策が登録数の大幅増につながるかは未知数だ。2023年10月の制度開始を控え、企業は取引先のインボイス登録番号の確認やインボイスの保存、システム改修に加え、税控除ができない免税事業者との取引方針の決定を迫られている。登録の遅れは制度全体にも影響するため、政府の舵取りが注目される。

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