2023-01-13
インボイス制度において、適格請求書発行事業者の登録を受けた後に注意すべき留意点がある。適格請求書発行事業者の登録を受けた場合、基準期間の課税売上高が1000万円以下となっても、登録の効力が失われない限り、消費税の申告が必要となる。適格請求書発行事業者は、取引の相手方(課税事業者に限る)から適格請求書の交付を求められたときは、適格請求書を交付しなければならないのは言うまでもない。
また、公表事項に変更が生じた場合や、登録を失効させるような場合には、一定の手続きが必要となる。例えば、氏名又は名称や法人の本店又は主たる事務所の所在地に変更があった場合は、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書を、適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書に記載した公表事項に変更があった場合は、適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書を、それぞれ提出する必要がある。
さらに、登録の取消しを求める場合は、適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書を、事業を廃止した場合は、事業廃止届出書を、法人が合併により消滅した場合は、合併による法人の消滅届出書を、個人事業者が死亡した場合は、適格請求書発行事業者の死亡届出書を、それぞれ提出する必要がある。登録の取消しを求める場合と個人事業者が死亡した場合は、2023年10月1日以降提出することができる。
なお、適格請求書発行事業者は、納税地を所轄する税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(「登録取消届出書」)を提出することで、原則として、登録取消届出書を提出した日の属する翌課税期間の初日に、適格請求書発行事業者の登録の効力が失われる。ただし、登録取消届出書を提出した日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日から、その課税期間の末日までの間に提出した場合は要注意だ。
それは、その提出があった日の属する課税期間の翌々課税期間の初日に登録の効力が失われるからだ。例えば、適格請求書発行事業者である3月決算法人が2025年3月15日に登録取消届出書を提出した場合(届出書を、その提出のあった日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日から、その課税期間の末日までの間に提出した場合)、適格請求書発行事業者の登録の効力が失われるのは、2026年ではなく2027年3月期の初日となる。