2023-01-25
2023年度税制改正大綱には、中小企業税制として、中小企業者等に係る軽減税率の特例などの適用期限の2年延長と合わせて、生産性の向上や賃上げの促進を図ることを目的とした償却資産に係る固定資産税の特例を創設することが盛り込まれた。この特例措置は、現下の経済情勢を踏まえた対応であることや固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であることから2025年3月末までの2年間の時限措置となる。
創設される償却資産に係る固定資産税の特例の対象は、中小企業等経営強化法に規定する市町村の導入促進基本計画に適合し、かつ、労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた中小事業者等の先端設備等導入計画に記載された一定の機械・装置等で、生産・販売活動等の用に供されるものに係る固定資産税について、課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする特例措置となる。
一定の機械・装置等とは、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれる投資計画に記載されたもので、1台又は1基の取得価額が、機械・装置は160万円以上、測定工具及び検査工具は30万円以上、器具・備品は30万円以上、建物付属設備(家具と一体となって効用を果たすものを除く)は60万円以上。また、賃上げをした場合は、課税標準を3分の1に引き下げる。
3分の1となる要件は、計画の認定の申請日の属する事業年度(2023年4月1日以後に開始する事業年度に限る)又はその申請日の属する事業年度の翌事業年度の雇用者給与等支給額の増加割合を、その申請日の属する事業年度の直前の事業年度における雇用者給与等支給額の実績と比較して1.5%以上とすることを同計画に位置付けるとともに、これを雇用者に表明したことを証明する書類を計画に添付して市町村の認定を受けたとき。
3分の1となる期間は、取得時期により異なり、(1)2023年4月1日~24年3月31日までの間の取得は、最初の5年間、(2)2024年4月1日~25年3月31日までの間の取得は、最初の4年間。なお、同様の固定資産税の特例は現行でも措置されている。先端設備等を導入した場合の償却資産に係る固定資産税の特例措置で、固定資産税の課税標準を3年間、ゼロ以上2分の1以下の範囲内で市町村の条例で定める割合に減免する。
この固定資産税の特例は、2018年度税制改正で「生産性革命」の一環として創設され、2023年3月末までの取得が対象となっている。中小企業庁によると、昨年6月末時点で固定資産税ゼロを実現したのは1659自治体で、1万732件を認定している。税制改正大綱では、現行の特例に関する記述は見られなかったが、その内容や適用時期を考えれば、2023年度改正で創設される特例は、現行の特例を衣替えするものとみられる。