2023-01-27
賃貸アパートや賃貸マンションの敷地として利用している土地は、「貸家建付地」評価の対象となる。貸家建付地に該当すれば、相続税評価額を減額できるため、相続税を節税することが可能だが、賃貸建物の敷地として利用している土地すべてが、貸家建付地として評価できるわけではない。土地を他人へ貸している場合には「貸宅地」に該当するが、貸宅地と貸家建付地では、土地の評価額の計算方法が異なるので、注意が必要だ。
貸家建付地とは、貸家の敷地の用に供されている宅地、すなわち、所有する土地に建築した家屋を他に貸し付けている場合の、その土地のことをいう。貸家建付地の価額は、「貸家建付地の価額=自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」の算式で求めた金額により評価する。この算式における「借地権割合」及び「借家権割合」は、地域により異なるので、路線価図や評価倍率表により確認する必要がある。
また、「賃貸割合」とは、貸家の各独立部分がある場合に、その各独立部分の賃貸状況に基づいて、「Aのうち課税時期に賃貸されていた各独立部分の床面積の合計/当該家屋の各独立部分の床面積の合計(A)」により計算した割合をいう。この「各独立部分」とは、建物の構成部分である隔壁、扉、天井や床等によって他の部分と完全に遮断されている部分で、独立した出入口を有するなど独立して賃貸その他の用に供することができるものをいう。
なお、継続的に賃貸されていたアパート等の各独立部分で、例えば、下記のような事実関係から、アパート等の各独立部分の一部が課税時期(相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)において一時的に空室となっていたにすぎないと認められるものについては、課税時期においても賃貸されていたものとして差し支えないこととされている。
事実関係とは、(1)各独立部分が課税時期前に継続的に賃貸されてきたものであること、(2)賃借人の退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、空室の期間中、他の用途に供されていないこと、(3)空室の期間が、課税時期の前後の例えば1ヵ月程度であるなど、一時的な期間であること、(4)課税時期後の賃貸が一時的なものではないことなどで、これらのケースでは、課税時期においても賃貸されていたものとして認められる。