2017-04-27
東京都はこのほど、大規模建築物の新たな固定資産評価方法を検討してきた「固定資産評価に関する検討会」の報告書を公表し、国(総務省)に対して大規模建築物の固定資産評価方法の見直しについての提言を行った。都内で建築されている大規模・複合用途の建物について評価する場合、建物の完成から評価完了までに長い期間を要する上、評価の方法が納税者に分かりにくいなどの課題が指摘されていた。
現在の家屋の固定資産税評価方法である再建築価格方式は、1963(昭和38)年度に固定資産評価基準で定められ、翌1964年度から適用されることとなったたが、この再建築価格方式は、高層ビルから戸建て住宅まで家屋の規模や用途にかかわらず全ての家屋に一律に適用され、家屋の建築に使われた資材の価格を積み上げて評価する方法であり、新たな工法や資材に対応するなどして、数次の改正が行われてきた。
ところが、近年増加傾向にある都心部・臨海部に建築されている、オフィスやホテル等の入る複合用途の大規模事業用建築物を現行の評価方法で評価する場合、(1)約5万点の建築資材を確認して評価基準に当てはめるなど、評価が困難で複雑な判断を伴うこと、(2)通常、竣工から評価完了までに2年近くを要することから評価に長期間を要すること、(3)評価方法が納税者に分かりにくいこと、など多くの課題が生じている。
このため、東京都では2016年に設置した「固定資産評価に関する検討会」において現行の評価方法と同等な価格を求める「新たな評価方法」について検討を行ってきた。今回提言された「新たな評価方法」は、現行の家屋の評価方法(再建築価格方式)が、建物に使用されている資材の価格を部分ごとに積み上げていく方法であるのに対して、1棟の家屋の中で取得価額(工事原価)等を基に算出する方法と現行の評価方法を併用するもの。
具体的には、建築設備など特に「評価が困難で、長期間を要する部分」のみを取得価額活用方式(取得価額(工事原価)を基に算出する)で評価して、その他の部分は、現行の評価方法(部分別評価方式)で算出する。同検討会では、「部分評価と取得価額活用方式等を併用する方法」が最も有効な方法とみている。東京都では、国との連携を図りながら、2021年度からの評価方法の見直しを目指している。
この件は↓
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/04/24/05.html