マンション長寿命化に資する修繕工事で固資税減額へ

大規模修繕工事によりマンションを長寿命化した場合に、区分所有者の固定資産税を減額する特例の創設が、2023年度税制改正大綱に盛り込まれている。対象となるのは、管理計画の認定を受けたもので、(1)築後20年以上が経過している10戸以上のマンション、(2)長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施、(3)長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保、等の要件を満たしているマンション。

大規模修繕工事(屋根防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事)が実施された場合に、マンションの各区分所有者に課される工事翌年度の建物部分(1戸当たり100平方メートル分まで)の固定資産税を減額する。減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準1/3)で市町村の条例で定める割合。2023年4月1日~2025年3月31日までの間に完了した工事が対象となる。

減額を受けるには、マンションの区分所有者が、長寿命化に資する大規模修繕工事であることをマンション管理士等が発行した証明書等を添付して、工事後3ヵ月以内に市町村に申告しなければならない。国土交通省は、この特例措置で、管理組合に対して、必要な修繕積立金を確保し、長寿命化に資する大規模修繕工事を適切な時期に実施するよう促すことで、外部不経済を発生させる管理不全マンションの発生防止を期待している。

特例創設の背景には、築後年数を長期間経た多くのマンションでは、高齢化や工事費の急激な上昇により、長寿命化工事に必要な積立金が不足していることがある。工事が行われなかった場合、外壁剥落など周囲への悪影響や除却の行政代執行に伴う多額の行政負担が生じる恐れがあるため、必要な積立金の確保や長寿命化工事の実施に向けた管理組合の合意形成を後押しする必要があることから、国交省が要望していた。