2021年度租特、81項目につき適用件数は約209万件

財務省が今通常国会に提出した「2021年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書」によると、2021年度(2021年4月~2022年3月)に終了した事業年度又は連結事業年度において、適用額明細書の提出があった法人数は約142万法人(2020年度約137万法人)で前年度から3.9%増加、適用件数は法人税関係の租税特別措置81項目(同81項目)について約223万件(同約209万件)と同6.4%増加していることが分かった。

租税特別措置の主な種類ごとにみると、中小企業への軽減税率(資本金1億円以下の中小企業には年800万円以下の所得に特例で15%(本則の軽減税率は19%)の税率)を適用する「法人税率の特例」(2措置)が、適用件数が約104万件(2020年度比4.3%増)、適用額が4兆2937億円(同8.6%増)と最も多い。また、「税額控除」(19措置)は、適用件数が約18.7万件(同28.2%増)、適用額が9437億円(同32.4%増)だった。

「税額控除」では、「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除」が適用件数約13.8万件、適用額2430億円と最も多く、適用件数は前年度からは39.0%と約4割増加。新型コロナウイルス禍により、賃上げが滞った前年度から大幅に増加した。「試験研究を行った場合の法人税額の特別控除」は、適用件数が約1.0万件(前年度比5.2%増)、適用額が6527億円(同29.2%増)だった。

「特別償却」(28措置)は適用件数約4.3万件(2020年度比0.5%増)、適用額8299億円(同2.0%増)だった。主な内訳は、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」が約2.3万件(同1.3%増)、適用額1934億円(同▲3.3%減)、「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却」が約1.6万件(同3.3%増)、適用額4885億円(同3.0%増)となっている。

また、「準備金等」(11措置)は、適用件数が約0.4万件(2020年度比▲3.4%減)と減少し、適用額も5506億円(同▲17.9%減)と2割近く減少している。そのほか、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」が適用件数約66.5万件(同3.4%増)、適用額3751億円(同4.0%増)、「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」が適用件数約25.8万件、適用額3144億円などがある。

なお、適用数の実績が想定外に少ない租税特別措置等は、必要性や将来見込みの検証を徹底する必要があることから、税制改正プロセスでは、総務省による政策評価の点検結果や、財務省の適用実態調査の結果を活用して、租税特別措置の必要性や政策効果を検証している。2023年度税制改正においても、期限が到来する法人税関係租税特別措置について、廃止又は縮減を伴う見直しを行う予定とされている。

同報告書の概要は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/fy2022/index.html