生産緑地の約9割が特定生産緑地に指定され優遇税制継続

国土交通省は、地方公共団体向けに実施した調査の結果、昨年末時点で、1992年に定められた生産緑地(9273ヘクタール)の約9割(8282ヘクタール)が特定生産緑地に指定されていたことを公表した。生産緑地制度は、市街化区域内の農地で、公共施設等の敷地として適している500平方メートル以上の農地を都市計画に定め、建築行為等を許可制により規制し、都市農地の計画的な保全を図るもの。市街化区域農地は宅地並み課税がされるが、生産緑地は軽減措置が講じられている。

都市農地の保全・活用を目的とする生産緑地は、市街化区域内農地が対象で、(1)500平方メートル以上(市区町村が条例を定めれば300平方メートルまで引下げ可能)の一団の農地、(2)公共施設等の敷地として適する、(3)農業等の継続が可能、等が指定要件。指定されると、固定資産税の軽減措置(宅地並み課税より軽い農地課税の適用)や相続税の納税猶予が適用。その一方、温室や農業用倉庫、直売所、農家レストラン等の農業関連施設を除き、建築等の行為は制限されている。

生産緑地制度では、指定後30年を経過すると、所有者が市区町村に対し生産緑地の買取りを申し出できる仕組み。申し出に対し市区町村が買い取らず、農業等に従事する購入希望者もいなかった場合、建築制限等は解除されるが税の優遇措置もなくなる。以後、三大都市圏特定市の場合、相続税の納税猶予はなくなり(既に納税猶予を受けている場合、次の相続までは現世代に限り猶予継続)、固定資産税は農地課税から宅地並み課税に変わる(激変緩和措置で5年間は年ごとの軽減率が適用)。

1992年に指定された生産緑地は全生産緑地面積の8割を占めていることから、30年経過となる昨年は、買取り不調による税の優遇措置の期限切れを機に、宅地として売却する農家が続出する恐れが想定されていた。そこで、市区町村が所有者の意向を基に、その生産緑地を特定生産緑地として指定でき、指定した場合、買取り申し出は30年経過後から10年延期され、10年経過後は改めて所有者の同意を得て、繰り返し10年の延長ができる特定生産緑地制度が2018年4月に施行されていた。

この件については↓
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001586781.pdf