研究開発税制、税額控除率を見直し適用期限3年延長

2023年度税制改正において、法人課税では研究開発税制が見直される。研究開発投資の維持・拡大に対するインセンティブを強化するため、試験研究費の増減割合に応じて控除上限が変動する制度を新たに導入するとともに、控除率の傾きを見直す(コロナ特例については期限通り廃止)。また、時限措置(控除率の上限引上げ、控除上限・控除率の上乗せ措置)について、適用期限を3年間延長する。

具体的には、まず、研究開発税制の一般試験研究費の額に係る税額控除制度について、税額控除率を(1)増減試験研究費割合が12%超は「11.5%+(増減試験研究費割合-12%)×0.375」、(2)増減試験研究費割合が12%以下は「11.5%-(12%-増減試験研究費割合)×0.25」に見直し、その下限を1%(現行2%)に引き下げた上、その上限を14%(原則10%)とする特例の適用期限を3年延長する。

次に、2023年4月1日から2026年3月31日までの間に開始する各事業年度の控除税額の上限について、増減試験研究費割合が4%を超える部分1%当たり当期の法人税額の 0.625%(5%を上限とする)を加算し、増減試験研究費割合がマイナス4%を下回る部分1%当たり当期の法人税額の 0.625%(5%を上限とする。)を減算する特例を設ける。売上高試験研究費割合が10%超の場合は通常の控除上限(25%)に10%まで上乗せする。

また、幅広いスタートアップ企業との共同研究・委託研究を促すため、オープンイノベーション型の「研究開発型スタートアップ企業」の範囲を大幅に拡大する。共同研究・委託研究の対象となる研究開発型ベンチャー企業の定義について、①未上場の株式会社(他の会社の子会社ではない)、②設立15年未満(10年以上の場合は営業赤字であること)、③売上高研究開発費比率10%以上、④ベンチャーファンド又は研究開発法人の出資先に改正する。

上記を全て満たすスタートアップ企業に対して、経済産業省より証明書を発行する。そのほか、ビッグデータやAI等を活用した「サービス開発」に係る試験研究費については、サービス開発に当たりビッグデータを新たに収集すること等が要件となっていたが、新たなサービス開発を促すため、既存のビッグデータを活用する場合も研究開発税制の対象とする。一方で、性能向上を目的としない「デザインの設計・試作」は税制の対象外とする。