インボイスの写しや電磁的記録の7年間の保存義務

インボイス発行事業者には、交付した適格請求書の写し又は提供したインボイスに係る電磁的記録の保存義務がある。このインボイスの写しや電磁的記録については、交付した日又は提供した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。適格簡易請求書、適格返還請求書、修正した適格請求書についても同様だ。

「交付したインボイスの写し」とは、交付した書類そのものを複写したものに限らず、そのインボイスの記載事項が確認できる程度の記載がされているものもこれに含まれるので、例えば、適格簡易請求書に係るレジのジャーナル、複数のインボイスの記載事項に係る一覧表や明細表などの保存があれば足りることとなる。レジのジャーナルとは、精算処理の際などに発行する、売上情報や販売状況などを記載した紙をいう。

交付したインボイスの写しの電磁的記録による保存については、国税に関する法律の規定により保存が義務付けられている書類で、自己が一貫して電子計算機を使用して作成したものについては、電子帳簿保存法に基づき、インボイスに係る電磁的記録による保存をもって書類の保存に代えることができることとされている。なお、作成したデータでの保存に当たっては、一定要件を満たす必要がある。

それは、(1)電磁的記録の保存等に併せて、システム関係書類等(システム概要書、操作説明書等)の備付けを行うこと、(2)電磁的記録の保存等をする場所に、その電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンタ並びにこれらの操作説明書を備え付け、その電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力できるようにしておくこと。

さらに、(3)国税に関する法律の規定によるインボイスに係る電磁的記録の提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしておくこと又はインボイスに係る電磁的記録について、取引年月日、その他の日付を検索条件として設定できることや、日付に係る記録項目は、その範囲を指定して条件を設定することができること、の要件を満たす検索機能を確保しておくこと、が作成したデータを保存するに当たっての必要な要件となる。