金地金の譲渡による所得の計算は所有期間で異なる

金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となる。また、その人が営利を目的として継続的に金地金の売買をしている場合の所得は、譲渡所得とはならず、その実態により事業所得または雑所得として総合課税の対象になる。ただし、金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、金地金の現物の譲渡とは異なり、源泉分離課税となる。

金投資口座や金貯蓄口座などからの利益は、実態は金融取引に近いことから、金融類似商品の収益として一律20.315パーセント(所得税及び復興所得税15.315パーセント、地方税5パーセント)の税率による源泉分離課税となるわけだ。この分離課税は、源泉徴収だけで課税が終了するので、他の所得と合算して確定申告をすることはできない。また、扶養親族などに当てはまるかどうかを判定するときの所得金額からも除かれる。

金地金の譲渡による所得の所得金額の計算は、その金地金の所有期間が5年以内か5年を超えるかによって異なる。まず、(1)所有期間が5年以内のもの(総合課税の短期譲渡所得)の場合は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」が金地金の譲渡益となり、{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円」、が課税される譲渡所得の金額となる。

次に、(2)所有期間が5年を超えるもの(総合課税の長期譲渡所得)は、「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」が金地金の譲渡益で、「{[金地金の譲渡益]+[その年の金地金以外の総合課税の譲渡益]}-譲渡所得の特別控除50万円」が譲渡所得の金額となり、「(譲渡所得の金額)×1/2」が課税される譲渡所得の金額となる。なお、譲渡所得の特別控除の額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円だ。

これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できない。また、(1)と(2)の両方の譲渡益がある場合には、特別控除額は両方合せて50万円が限度で、(1)の譲渡益から先に控除することになる。