2023年度税制改正法案が衆議院で可決、附帯決議も

2023年度税制改正法案である「所得税法等の一部改正法案」及び「地方税法等の一部改正法案」の両案が2月28日、衆議院の財務金融委員会及び総務委員会での可決後、本会議に上程され、ともに自民・公明などの賛成多数で原案どおり可決されて参議院に送られている。今後両案は、参議院の財政金融委員会及び総務委員会で審議が行われ、3月31日の年度末までには可決・成立する見込み。

国税関係の「所得税法等の一部改正法案」は、NISAの抜本的拡充・恒久化、資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築、インボイス制度(適格請求書等保存方式)の円滑な実施に向けて課税事業者となる事業者の負担を軽減する緩和措置などが盛り込まれ、2月3日に閣議決定後、衆議院に送付。その後、財務金融委員会で2月10日から28日までの間に4日間審議が行われた。

委員会では法案の可決後、「NISA制度の抜本的拡充に当たっては、制度の適切な広報・周知により利用の促進を図るとともに、長期的かつ小規模な投資による資産所得の形成支援という趣旨を逸脱した利用、例えば、短期の回転売買などを抑制するための対策を講ずること」や、貯蓄から投資への観点から、「適切に金融資産の選択・運用が行われるよう国民の金融リテラシー向上に努めること」との附帯決議が付された。

そのほか、「インボイス制度実施に当たっては、同制度に対してなお慎重な意見があることを踏まえ、免税事業者の取引からの排除や廃業という深刻な事態が生じないよう最大限の配慮を行うとともに、免税事業者が課税事業者に転換する場合の事務負担についても軽減されるよう努めること」や、「スタートアップへの再投資に係る非課税措置について、必要に応じ適切な措置を検討すること」など7項目の附帯決議が付されている。

一方、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の税率区分の見直しや、固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化等の納税環境の整備、航空機燃料譲与税の譲与割合の特例措置の見直しなどが盛り込まれている地方税関係の「地方税法等の一部改正法案」は2月7日に閣議決定され、総務委員会で2月14日から28日までの間に4日間審議されていた。