北海道ニセコ町が宿泊税導入に向けて協議を本格化

国際的なスキーリゾート地として知られる北海道のニセコ町では、2017年度より本格的に新しい恒常的な自主財源の確保に向けた調査や検討を進めてきたが、このほど、これまでの取組みを踏まえ、宿泊税の導入に向けた協議や実務をより強く進めることを明らかにした。同町の宿泊税は、隣接する倶知安町が2019年に導入した宿泊料金の2%を定率で徴収する制度と同様の定率制(2%)として、2023年度中に関連条例制定を目指す。

同町では、宿泊税の導入趣旨として、「世界の多くのスノーリゾートでは雪不足に悩まされており、毎年安定して上質な雪が豊富にあるニセコは、観光地としてのニーズが今後さらに高まると予想され、観光振興を始めとした地域づくりに関する経費、投資は今後も減らすことは難しい」とした上で、「反面、本町では現状でこれらの政策に充てられる自主財源は少なく、持続可能な地域づくりを担保できない」との現状の課題を示した。

そこで、ニセコ町では 2022 年に策定した「ニセコ町観光振興ビジョン」においても、目指すべき将来像として『町民や観光客から信頼される、持続可能な国際リゾート』の実現に向けた財源として、宿泊税を例示していた。これらのことから、同町では観光地として魅力的な地域づくりに充てられる新しい恒常的な自主財源の確保が喫緊の課題であり、今回その解決手段の一つとして宿泊税の導入を推進することとなったと説明している。

宿泊税制度は、隣接する倶知安町と同様の定率制(2%)での導入を目指すが、コロナ禍以前の入込と同水準まで回復した場合、年間2億円程度の税収と推計している。このほか、免税条件の有無など、詳細は今後の合意形成の中で煮詰めていくという。年間2億円程度を見込む税収は、地域内交通の充実を始め、宿泊事業者の地球環境負荷の低減、観光案内DXの推進、景観・環境保全対策などに充てる考えだ。

宿泊税は自治体が条例で独自に課税できる「法定外目的税」で、2002年に全国で初めて導入した東京都を嚆矢として、2022年4月1日現在、大阪府や岐阜県、福岡県、京都市、金沢市、北海道倶知安市など10自治体が追随している。財源不足に悩む自治体でも宿泊税導入の検討が始まっているところもある。新型コロナの影響で議論がストップしていた自治体も多く、ニセコ町を皮切りに、導入に向けた動きに拍車がかかるとみられている。

この件については↓
https://www.town.niseko.lg.jp/resources/output/contents/file/release/10411/44054/koho_syukuhakuzei_R050302.pdf