中小企業向け賃上げ促進税制の適用誤りで注意喚起

3月期決算法人等が申告期を迎えているが、国税庁は、中小企業向け賃上げ促進税制の適用を受けるに当たって、別表の記載に誤りがあり、税額控除額が適正に算出されていない事例が見受けられるとして注意を喚起している。賃上げ促進税制は、中小企業者等の雇用者給与等支給額が対前年度比で1.5%増加しているときは、その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額の法人税額の特別控除ができる。

国税庁は、比較雇用者給与等支給額の計算誤りにより、同制度を適用している事例が散見されるという。例えば、別表六(三十一)(2022年4月1日以後終了事業年度分)の「5」欄(比較雇用者給与等支給額)には、同税制を適用しようとする事業年度と適用年度の前事業年度の月数が異なる場合や組織再編成を行っている場合などに該当しない限り、前事業年度における雇用者給与等支給額を記載することになる。

ところが、前事業年度に退職した従業員に対する給与等の支給額を差し引いて記載する等の誤りにより、本来であれば同税制の適用が受けられないにもかかわらず適用を受けている事例や、誤って算出された金額に基づいて適用を受けている事例が見受けられるという。同税制は累次の改正が行われ、制度の適用要件につき順次見直しがなされているので、適用年度の適用要件を十分に確認の上、別表を記載するよう呼びかけている。

ちなみに、「適用年度の比較雇用者給与等支給額」又は「前事業年度の雇用者給与等支給額」のいずれか又は両方を誤って申告した場合であっても、控除対象雇用者給与等支給増加額は、確定申告書等に添付された書類に記載された控除対象雇用者給与等支給増加額が限度とされているので、修正申告書又は更正請求書により、控除対象雇用者給与等支給増加額を増加させることはできないので注意が必要となる。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/shinkoku/itiran2022/06-31.htm