少額減価償却資産の特例に係る改正の趣旨説明を公表

国税庁は昨年6月、法人税関係の2016年度税制改正を踏まえ、法人税基本通達を見直したが、このほどその趣旨説明を公表した。改正の一つに「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」の見直しがある。2016年度改正では、(1)対象となる中小企業者等について、常時使用する従業員の数が1000人以下の法人に限定された、(2)適用期限が2018年3月31日まで2年延長された。

今回の改正後の取扱いに関する趣旨説明によると、まず、従業員の数が1000人以下の法人に限定されたことを踏まえ、1000人以下であるかどうか(従業員基準)の判定の時期は、資本金基準と同様に、原則として、法人が少額減価償却資産の取得等した日及び事業の用に供した日の現況により判定すべきとした。ただし、従業員の数の変動は、資本金の額の変動と比較すると、事業年度を通じて起こり得るものである。

また、仮に同一事業年度内に1000人以下である期間と1000人超である期間が混在していた場合には、1000人超である期間内に取得等をして事業の用に供した減価償却資産を抽出して同特例の適用から除外するというのは、一定の事務負担を要するといった面もあることから、改正後の本通達では、従業員基準については、事業年度終了の日の現況によって判断することができることを明らかにしている。

一方、従業員の数が1000人以下であるかどうかの判定に当たっては、法人が常時使用する従業員の数が何人かが問題となるが、この場合の「常時使用する従業員の数」は、法令上、特段の条件が定められていないことから、改正後の本通達において、雇用形態が常用であると日雇いであるとを問わず、常時就労している職員、工員等(役員を除く)の数によることを留意的に明らかにしている。

また、法人が酒造最盛期、野菜缶詰・瓶詰製造最盛期等に数ヵ月程度の期間その労務に従事する者を使用している場合であっても、それらの事業の性質を考慮して、その従事する者を「常時使用する従業員の数」に含めて取り扱う旨を、改正後の本通達の後段において明らかにしているとも説明している。なお、これらの取扱いは、連結納税制度においても、同様の通達を定めている。

この件については↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/160628/pdf/03-08.pdf#page=1