2023-05-09
ゴルフ会員権は会員制のゴルフ場を利用できる権利だが、相続税や贈与税を計算するときのゴルフ会員権は、取引相場の有無によって相続税評価の方法が異なる。また、株式の所有を必要とせず、かつ、譲渡できない会員権で、返還を受けることができる預託金等がなく、ゴルフ場施設を利用して、ゴルフ場で単にプレーができるだけで資産としての性質がないゴルフ会員権については、評価しない、つまり相続税評価はゼロになる。
取引相場のある会員権は、課税時期(相続又は遺贈の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の取引価格の70%に相当する金額によって評価する。ただし、取引価格に含まれない預託金等があるときは、預託金の価値を含めた金額で評価する。課税時期において直ちに返還を受けることができる場合は、「相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%+預託金の金額」となる。
また、課税時期から一定の期間を経過した後に返還を受ける場合は、預託金の金額は返還されるまでの金利に当たる部分を割り引いて評価する。算式は、「相続人が亡くなった日時点の取引価格×70%+預託金の金額×返還までの期間に応じた基準利率による複利現価率」となる。基準年利率と複利現価率は国税庁ホームページに掲載されている。返還までの期間は年単位とし、端数があれば年単位に切り上げる。
一方、取引相場のない会員権は、会員権の形態に応じて評価する。(1)株主でなければゴルフクラブの会員となれない会員権は、財産評価基本通達の定めにより評価した課税時期における株式の価額に相当する金額によって評価。また、(2)株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権は、その会員権について、株式と預託金等に区分して計算した金額の合計額によって評価する。
具体的には、株式の価額は上記(1)の方法を適用して計算した金額、預託金等は、取引相場のある会員権での方法を適用して計算した金額となる。そのほか、(3)預託金等を預託しなければ会員となれない会員権は、取引相場のある会員権での方法を適用して計算した金額によって評価する。なお、会員権を相続する場合はゴルフ場に名義書換料を支払う必要があるが、会員権の相続税評価での名義書換料の控除は認められていない。