国税庁、「源泉所得税改正のあらまし」を公表

国税庁は、2023年度税制改正での「源泉所得税改正のあらまし」を公表し、周知を図っている。まず(1)給与支払明細書及び給与所得の源泉徴収票の記載すべき事項を電磁的方法で提供するための要件について、給与等の支払者から支払を受ける者に対し、「給与等の支払者が定める期限までに承諾をしない旨の回答がないときは承諾があったとみなす」旨を通知し、期限までに回答がなかったときは、承諾を得たものとみなす方法が加えられた。

(1)の改正は、2023年4月1日以後に行う通知について適用される。次に、(2)ストックオプション税制(特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等)の適用対象となる新株予約権に係る契約の要件について、下記の見直しが行われた。この改正は、2023年4月1日以後に行われる付与決議に基づき締結される契約により与えられる一定の新株予約権について適用される。

(2)の見直しは、新株予約権の行使は付与決議の日後10年を経過する日までの間に行うこととの要件について、一定の株式会社が新株予約権を付与する場合には、その新株予約権の行使はその付与決議の日後15年を経過する日までの間に行うこととされた。一定の株式会社とは、付与決議の日において、その設立の日以後の期間が5年未満であること、上場株式発行会社でないこと等の要件を満たす株式会社をいう。

また、(3)NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)について、拡充や恒久化などの見直しが行われた。そのほか、(4)「給与所得者の扶養控除等申告書」について、その申告書に記載すべき事項がその年の前年の申告内容と異動がない場合には、その記載すべき事項の記載に代えて、その異動がない旨の記載によることができることとされた。

(4)の改正は、2025年1月1日以後に支払を受けるべき給与等について提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」について適用される。(5)特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子等の非課税措置の適用期限が2026年3月31日(改正前:2023年3月31日)まで延長された。(6)クロスボーダー取引に係る利子等の課税の特例等が見直され、2024年7月1日以後に提出する書類又は提供する事項について適用される。

(6)は、ア.振替国債等の利子の課税の特例等について、e-Taxで税務署長に提出する非課税適用申告書等、特例書類のファイル形式を、XML形式又はCSV形式とすることとされ、ロ.上場株式等の配当等に係る租税条約等の適用手続きについて、その配当等の支払の取扱者のその支払を受ける者等に関する事項の光ディスク等による税務署長に対する提供に代えて、e-Taxにより提供することができることとされた。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0023004-040.pdf